取材やメディア掲載、広告出稿に関してのご依頼、掲載記事に関するお問合せはこちら

お問い合わせフォーム

公式SNSでも発信中

元ジョッキーの挑戦 活躍する競走馬と行き場を失う競走馬… 命をつなぐ牧場に競馬界も支援《新潟》

ニュース

2026.01.13

  • facebook
  • twitter
  • LINE

ことしは午年(うまどし)ですが、競馬界では活躍する競走馬の裏で引退を余儀なくされ、行き場を失う馬もいます。そんな一線を退いた馬たちを引き取り余生を過ごすための牧場を運営する元ジョッキーが新潟県胎内市にいます。その取り組みにはJRAが支援に乗り出すなど広がりを見せています。

獅子舞に扮した、ことしの主役……。
新潟市中央区で開かれた馬とふれあうイベントではエサやりに夢中の子どもや楽しそうに乗馬をする家族連れの姿がありました。
“ウマ年”生まれだというグループ。

<ことし“年女”の20代>
「馬のように駆け抜ける一年にしていきたいと思います」
「いま実家暮らしなのでひとり暮らしをして独り立ちをしていきたい」

馬を通じて笑顔が広がります。飼育しているのは松原正文さん(64)です。
<松原正文さん>
「人馬ともに無事過ごせればそれだけで十分です」
新潟・胎内市にある牧場「松原ステーブルス」。

暮らしているのは13頭の馬。
ひときわ暴れん坊だという馬は、2017年のシンザン記念(GⅢ)で優勝した「キョウヘイ」です。
自慢の末脚を武器に中央競馬で3勝をあげましたが、その後活躍できず2024年に引退しました。

牧場には競走馬として活躍したサラブレッドも多く存在しているのです。
北海道出身の松原正文さん。15歳の時に、競馬の騎手として新潟にやってきました。
10年ほどで80勝以上を記録し、その後 調教師に転身。そこで、忘れられない経験をします。
<元ジョッキー 松原正文さん>
「自分らの手で肉屋さんに馬を積むということをした。行きたくないといってるのか聞いたことのない いななきをする。そういうのをずっと聞いてるんで、ずっと心にひっかかってる」

活躍できず引退した馬が、余生を過ごせる場所。

調教師をやめ、20年ほど前にこの牧場を作りました。
夏、牧場に1台のトラックがやって来ました。
積まれていたのは神奈川県の川崎競馬場で活躍していた競走馬、マーゴットリリーです。
この日の1週間ほど前、レースを終えたあと鼻血を出したといいます。馬は鼻で呼吸することから鼻からの出血は能力が低下し、競走馬としては致命的だというのです。

<松原正文さん>
「公正競馬っていう競馬を公正にしなきゃいけない。鼻出血だけだから足なんてどこも痛いところない。でも競走馬としては不可能」

引退が隣り合わせの厳しい世界。

馬を飼育するにはエサ代だけでも年間数十万円はかかります。走れなければ、まかなうこともできません。

それでも、「生きてほしい」。
馬主から調教師を通じて松原さんのもとへ相談があったといいます。

<松原正文さん>
「のんびり過ごしてほしい。いままで人間の競馬、調教というストレスに耐えながら今まで走って」

Q)葛藤の中で仕事をしている人も多いですか?
「だから自分は調教師をやめた。助けたくても助けられないから。やめなきゃ助けられないから」
馬が活躍できる場所を作ろうと松原さん始めたのが、春の祭り「シャングシャング馬」です。
馬を農業に使っていた胎内市下赤谷地区では300年以上前から祭りで五穀豊穣を願ってきました。
神社にまつられている馬頭観音を目指して、馬たちが一気に駆け上がります。
去年はこんな参加者も。

<獣医師・山本真広さん>
「安全性とかも見ていたがちゃんと配慮されてますし、問題ない」
JRA日本中央競馬会です。JRAでは現在、引退した競走馬の支援を行っていて、馬を活用したシャングシャング馬の視察に訪れたといいます。
スーツ姿で駆け上がりに挑戦し、盛り上げに一役買っていました。

<獣医師・山本真広さん>
「松原さんは引退競走馬を利活用する取り組みもされているので、JRAグループとしても応援しています」

この祭り、一度は途絶えていましたが松原さんが10年ほど前に復活させました。いずれは引退した競走馬も参加させたいといいます。

<松原さん>
「本当に助けられる馬を助けられるような競馬界になってほしい。
 祭りがひとつきっかけになればいい」

<日本中央競馬会 馬事部 秋山 健太郎さん>
Q)引退する馬が活躍できる場所が少ないように感じますが?
「少しづつ広げていかなければいけない。国土の狭い日本の中で1頭でも多くの馬が長く活躍できたらいい」
去年12月。新潟・関川村の介護施設にやってきたのはサンタに変装したミニチュアホースです。

<松原正文さん>
「馬が病室とかできれば入れるようにちゃんと馬を消毒して連れてきている」

施設の忘年会にサプライズで登場する計画でしたが、すぐに気づかれてしまいました。
施設で暮らす高齢者は足腰などが弱り、多くが車椅子での生活を余儀なくされています。
外に出て動物と触れ合う機会もありません。

<関川愛広苑・中澤大介さん>
「“第二の人生の支援”ということで通じるものはあるのかなと思いましたし、普段見られない表情だったりとか笑顔が今回見られたので、非常に喜ばしい」

懸命に生きる小さな命。

<施設の入所者>
「離れたくない、かわいいもんね」

「乗りたい。リハビリを頑張る、足上がるようにね」

松原さんは馬をリハビリにも活用したいと考えています。

<松原正文さん>
「やっぱり生き物だし、命のあたたかさ。馬がいるから元気になる。馬がいるから私も元気にこういう活動している」
20年以上にわたり引退した競走馬と生活をともにしている松原さん。牧場での収入はほとんどなく、アパートの家賃収入などで生計を立てています。

<元ジョッキー・松原正文さん>
「口の聞けない動物がいるから人間が守られている。口が聞ければ豚も牛も“死にたくない”とかニワトリだってそうだけど、そういう言葉を発したら絶対食べられない。朝起きて厩舎を開けてみんながうふふと言うだけで“ああ幸せ”無事に馬が生きてる。そこから始まるので全然疲れたもない」

Q)松原さんにとって馬はどういう存在?
「家族、家族の前に大事な命だろうね」

癒しを与えてくれる馬に命の限り躍動する馬。
そして、いまを生きられなかったかもしれない馬。
ことしも人馬ともに健康な1年になりますように。
27 件
〈 1 / 1 〉

RANKING 人気記事

ランキングをもっと見る

カテゴリから探す