そして、3次審査
「なんで、面談通ったんだろう・・・」
そんな疑問を抱きながらも、
オーディションはどんどん進んでいく。
ここまで残った10人の参加者は、
スタッフさんに案内されて、何かの舞台セットの裏側に待機することになった。
そして、いつも通り
エントリーNo.1の僕が最初に呼ばれ
何かの扉の前に、立たされた。
「(これ、何の扉だろう・・・?)」
と思っていると、スタッフさんは唐突に
スタッフさん
「じゃあ、これから最後審査です。
この扉が開いたらスタートです。あとは宜しくお願いします。」
僕
「え?最終審査?あとは宜しく?え・・・?」
いろんな情報が一気に舞い込んで、
まったく整理がつかなかった。
スタッフさん
「準備OKでーす」
僕
「え、何の?」
上からBGMが流れる。
そして・・・
『ドン!!!』
勢いよく扉が開いた。
扉が開くとそこは、
いつもテレビで見ていた「いいとも!」のステージだった。
そして、目の前には“オードリー”のお2人がいた。
僕
「うわぉ!」
突然のことだらけで、分かりやすく驚いた。
全然状況を整理できていなかった。
しかし、そんな僕を横目に、
オードリーのお2人は、どんどん僕に質問をしたり、イジってきたり・・・
僕は、頭が真っ白になって、あわあわしながらも、
とりあえずニコニコしながら、それに応えるだけで精一杯だった。
そう、最後の審査は
「本番同様のリハーサル」だったのだ。
ショップリコーナーのMCである”オードリー”のお2人との絡みをみて、
出演か否かの最終判断が下されるという、なんとも素人泣かせな・・
そして最終審査は、あっという間に終了。
まさに目の前を、凄まじい嵐が一気に通り過ぎたような出来事だった。
僕
「これは、ダメだな・・・」
全く手ごたえがなかった。
というか、突然のことで何が何だか分からな過ぎた。
僕以降の参加者は、
舞台袖でその様子を伺ってからリハーサルができる。
中には、扉が開いた瞬間から笑いを取るような猛者もいた。
僕
「エントリーNo.1じゃなければ、
もう少しうまく対応できたかもしれないなぁ・・」
と思いながらも、
過ぎてしまったことは仕方ない。
最終審査が終わった僕は、
Nさんの待つ階段へ向かった。
Nさんは、笑顔で迎えてくれた。
きっと落ち込んでいる僕を励ましてくれるんだな・・そう思った。
Nさん
「ケント・・・・」
僕
「はい。」
Nさん
「いいとものステージ・・・・楽しかったわね!」
僕
「はい?」
緊張しすぎて、
全然気づかなかったが、
実は、Nさんも紹介者として
僕と一緒にセットの扉から出て、ステージ上に居たらしい。汗
Nさん
「やっぱりステージの上は最高ね!!
本番が楽しみだわ!」
Nさんは、目を輝かせながらそう言った。
「(あの空間を楽しめるなんて、やっぱり元アイドルは違うな・・)」
こういう大舞台を楽しめる人こそ、 「テレビに出る人」に向いているんだろうな。
そんな、Nさんの姿を見て、自分とは全然違う・・
「僕に、この世界は向いていないかもしれない・・」
「僕の淡い夢も、“あの日の約束”も、ここで終わりかも・・」
そう肩を落としながら、
アルタの階段を下りて、現実へ・・・
まだ間に合うであろう、
午後の授業に、向かうことにした、
ところだった
カサハラケント (笠原賢人)
1988年5月17日生まれ
新潟県新発田市(旧紫雲寺町)出身
2011年、大学を卒業後、
役者・絵描き・クリエイター活動を開始。
役者としては、
主に舞台(40本以上)やCM等で活動。
絵描き・クリエイターとしては、
個人や企業・行政から依頼多数。
横浜の商業施設でのグッズ販売に、
ZeppTokyoで開催されたファッションイベントでは
自身作成のロゴがメイン採用。
2019年には、
地元新発田市の図書館で個展も開催。
また、2018年からは
新発田市と共同でプロモーションムービーを制作。
2021年に高校生とともに企画・制作したCMは
「新潟ふるさとCM大賞」で準グランプリを獲得。
その他にも、
舞台やコントライブの脚本や、
人気バンドユニットの小道具制作など
幅広くクリエイター活動を展開。
将来の夢は、
「新発田で映画を撮る」こと。
そして、全国の人に
「新発田」を「しばた」と
読んでもらえるようになること。