体育館レベルのスタジオに入ると
その中央にパイプ椅子が3脚用意されていた。
それはおそらく、僕ら3人のものだろう。
そして
そのパイプ椅子と対になる位置に
長テーブルと椅子が2脚用意されている。
そこはおそらく、”審査員席”だろう。
長テーブルの横には
音響セットが用意されている。
おそらく、持参した音源を
その音響セットから流してくれるのだろう。
でも、それは・・
もはや、僕には”関係のない”こと。
なぜなら・・
この日僕は、ダンス用
そして、歌唱用の音源の・・
どちらも持参しなかったのだ。
カサハラ
「もう残された道は、”逆張り”しかない」
中途半端に、踊るくらいなら(踊れないけど)・・・
中途半端に歌うぐらいなら・・・
思いっきり、ハチャメチャにやった方が良い。
得てして、”成功する人間”というのは・・・
いかにも突飛で”破天荒”な人間である。
”型に嵌められたこと”ばかりに、
一生懸命になったとしても・・
結局は、
同じ穴のむじな。
井の中の蛙大海を知らず。
え、意味、違う?
いいんです。
”成功する人間”は
小さなことは気にしない。
「こちらへどうぞ」
スタッフさんに促され
僕ら3人はパイプ椅子に腰かける。
僕は、長テーブルから向かって一番右に座った。
そして数分後
スーツを着た2人の男性が審査員席に腰かけた。
審査員
「では、これから簡単にオーディションを行います」