スタッフさん
「では次、カサハラ君お願いします。」
僕
「はい」
僕はステージに上がると、
端に置いてあった「キーボード」の用意をした。
講師陣が
「あれれ?」という反応をする。
そう、僕は
「キーボードを演奏する」
ことは伝えていなかったのだ。
実は、キーボード自体
養成所に入ってから猛練習し
難しいコード進行でなければ・・
少しなら
“キーボードでの弾き語り”が、
できるようになっていた。
そして、準備は整った。
僕
「音源スタートしてください」
音響スタッフさんが、
スタートボタンを押す。
音響スピーカーから・・
講師“F”に作ってもらった
音源のイントロが流れてくる。
僕がキーボードを
用意したことで講師Fは、
「まさかこいつ、
俺の作った曲を歌わないのか!?」
と思ったのだろう…
イントロが流れた瞬間、
講師“F”の安堵した表情を伺うことができた。
一安心したところ、
ごめんなさい。
僕が、
”勝手にいじった“部分は・・
このあとなんです。
イントロが終わり、
Aメロに入る。
僕はキーボードで
楽曲のコード進行を弾きながら、
少したどたどしくも、
オリジナル曲を歌い始める。
結構練習したので
このあたりは順調な滑りだしだった。
まだ周りみんなも、
特に変哲なく、いつも通りの様子。
続いてBメロに入る。
僕は少し緊張しはじめる。
僕が、”勝手にいじった”メインの
「サビ部分」
が近づいてくるからだ。
プレッシャーからか、
少しキーボードのミスも多くなる。
「きっと減点対象だ。」
でも、
もはやそんなことはどうでもいい。
そして、ついに・・・
サビが来た。
僕
「(よし、やってやる!)」
そして、Bメロから
サビに入る瞬間・・・・
音響スピーカー
『ビーンガシガシガシガシ!!ビーンガシガシガシガシ!!』
みんな
「!?」
急に、大きな雑音が入る。
まるで、
昔の「テープレコーダー」が
再生中にからまるような
あのガシガシ音だ。
周りはざわつき始める。
講師“F”は音響スタッフの方を振り返り
「どうした?大丈夫か?!」
と声をかける。
音響スタッフは慌てている。
しかし、演奏中の僕は一切慌てない。
だって、その雑音…
僕が、編集して勝手に付け加えたんだも~ん!