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信頼感



そして・・・

この日3回目の
遺族たちのシーンが再開された。



ヒノウエさんの
助言を意識して・・


いや、


お芝居中には
意識してはならない。


”神谷椎太郎”として
その場に居ることだけ・・



それだけだ。



神谷椎太郎のキャラクターは
ここ数日でしっかりと作り込んできた。



それに関しては
ちゃんと自信を持っている。



あとは、きっと・・


“神谷椎太郎”が勝手に
動き出してくれるはずだ・・・




僕は・・


遺族たちのシーンの数分間
何も考えずに、ただ・・



”神谷椎太郎”として
そこに在り続けた。


すると・・


なんだろう・・・


遺族同士の

見えなくとも
固く結びついた絆

容疑者たちへの
強い憎悪、

そして、深い悲しみ


あらゆる感情が
身体の奥底から湧き上がるような・・


普段のカサハラケントとしての
生活の中では味わったことのないような



様々は感情が
溢れ出てくる感覚になった。


すると・・・



ぶはははは!



突然の演出家の笑い声が、
スタジオ中に響き渡った。


演出家
はい、一旦終了。うん、遺族たち、良い感じだね。見ていて面白かったよ。




カサハラ
「(え・・・よ、よっしゃ・・!!)」




上手く言葉には
できないけれど・・


もう一度やれと言われても
たぶん難しいかもしれないけれど・・


それに


同じように
やろうと意識すれば・・


またそれは

“リアル”
とかけ離れるものに
なってしまうだろうし・・



本当に繊細で
本当に難しけれど・・





少しだけ


その感触を
掴めたような気がした。




演出家
では、一旦休憩します。



そう言うと
演出家はいつもの通り


スタジオの階段のぼり、
外へ向かおうとした・・ところで



再びヒノウエさんのもとに寄り
何か耳打ちをしているようだった。


耳打ちをされたヒノウエさんは
少し表情をやわらげ・・・


少し笑みをこぼしながら
演出家にお辞儀をした。



カサハラ
「(なんか・・・すごい関係性だな)」




でも



何故か
“羨ましい気持ち”にもなった。



演技の方向性と
求めるものの一致。


そこに生まれる
“お互いへの信頼感”



それを

演出家とヒノウエさんの
今の一瞬のやりとりから


伺い知れることができた。



つづく・・・

P.S.


改めて、このコラムを書いていて演技の奥深さというものを実感しました・・汗。
どれだけ探しても、どれだけ追いかけても、“答えがない”・・・それが、演技の難しさであり、面白さなんですよね~!


次回!!

初めての”本役”の稽古を経験し、演じる上でまた大切なことを学ぶことが出来たカサハラ青年。もっともっと、役作りを深めて、神谷椎太郎として、そこに立つことをまずは心掛ける。すると・・本番を数日後に控えたタイミングで、突然演出家から思いもよらぬ一言を告げられることになったのだった・・・

お楽しみに~!!



カサハラケント

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カサハラケント
カサハラケント (笠原賢人) 1988年5月17日生まれ 新潟県新発田市(旧紫雲寺町)出身 2011年、大学を卒業後、 役者・絵描き・クリエイター活動を開始。 役者としては、 主に舞台(40本以上)やCM等で活動。 絵描き・クリエイターとしては、 個人や企業・行政から依頼多数。 横浜の商業施設でのグッズ販売に、 ZeppTokyoで開催されたファッションイベントでは 自身作成のロゴがメイン採用。 2019年には、 地元新発田市の図書館で個展も開催。 また、2018年からは 新発田市と共同でプロモーションムービーを制作。 2021年に高校生とともに企画・制作したCMは 「新潟ふるさとCM大賞」で準グランプリを獲得。 その他にも、 舞台やコントライブの脚本や、 人気バンドユニットの小道具制作など 幅広くクリエイター活動を展開。 将来の夢は、 「新発田で映画を撮る」こと。 そして、全国の人に 「新発田」を「しばた」と 読んでもらえるようになること。