ヒノウエさん
「貴重な休憩中にスミマセン」
カサハラ
「いえいえ、どうしたんですか?」
ヒノウエさん
「演出家カラ、“お前の感じたこと”をオーディション組に話せ、とイワレタノデ、今の稽古で感ジタコトヲお話シタイト思います」
カサハラ
「は、はい・・」
ゴクリ・・
4人に緊張が走る。
ヒノウエさん
「マズ、演出家の言っていた通り、私も1回目の方が、ヨカッタデス」
カサハラ
「それは・・一体どの辺が1回目と2回目で、違ったんですか・・?」
ヒノウエさん
「2回目は、ミナサンが1回目の反省を生かそうと、それぞれ、考えながら動いたと思います」
完全ヤンキー
「まぁ、1回目を踏まえて、2回目はいろいろ修正したくなるわな~」
ヒノウエさん
「デモ・・普通、人はソンナコトを考えながら、生活シテイルデショウカ?」
完全ヤンキー
「まぁ、そんなことは考えながら生活はせえへんな~」
ヒノウエさん
「ソウデスヨネ。何度も言ってしつこいカモシレマセンガ・・・
演出家が求めるのは”完全なるリアル”です」
カサハラ
「完全なるリアル・・」
ヒノウエさん
「お客サンカラ、“見やすいように立とう”、ナンテ思う必要はありません」
カサハラ
「ギクッ・・」
ヒノウエさん
「お客サンにコノ舞台を観劇してもらうのではアリマセン。
コノ舞台を・・・
・
・
・
・
“目撃”してもらうのデス。」
カサハラ
「そっか・・・余計なことを、考えすぎてたんだな・・・」
ヒノウエさん
「ワタシたち遺族がこの場所にキタ理由はナンデスカ?
この空間に入るのは、初めてですか?
ココは見慣れた空間ナノデスカ?
バックボーン、取り巻く状況を、シッカリと役に落とし込めたら、ワタシタチ役者は”ただそこに立つだけ”。ソウスレバ、あとは役が勝手に“動き出す”んデス」
カサハラ
「・・・・役が勝手に“動き出す”」
ヒノウエさん
「貴重な休憩時間を割いてイタダキ、アリガトウゴザイマシタ」
カサハラ
「こちらこそ、ありがとうございます!!」
ズシンズシン・・
演出家
「では、再開します」