制作陣が到着するまで僕とTDさんは
自己紹介をしたりして、コミュニケーションを取った。
TDさんは僕より1つ年上で
普段は事務所に所属しながら・・・
役者とミュージシャンの二刀流とのこと。
子ども達向けのギター教室を開くくらい
ギターの腕も立つのだという。
「(すげぇ・・やっぱりこの世界には、こんな人たちがゴロゴロいるんだな・・)」
先日の”舞台”で味わった、
先輩役者さんたちの物凄さ
僕のプロフィール写真を撮ってくれた
凄腕”昔のカメラマンさん”
そして・・
マネージャー兼プレイヤーも務める
”ストレッチレディ”に
事務所の”社長(只者ではない演出家)”・・・
本当にやべえ人ばかりだ。
そんな感じだったので一層
僕の無能力さが際立ってしまう。
TDさんが楽しそうに話す傍ら
僕はどんどん自分に自信が無くなってくる。
すると・・
「遅れてすみません!!」
渋滞で遅れていた制作陣が
集合場所に到着した。
予定の時間を30分近く押していたので
スタッフさんは申し訳なさそうにしながらも・・
撮影現場に向かって歩きながら
手短にこの日の撮影内容について僕らに説明をしてくれた。
TDさんは、撮影現場の経験も多いようで
スタッフさんの説明を聞きながら、撮影の全体像をしっかりと把握している様だった。
それに対して僕は・・・
今日が”完全に初めて”。
説明を聞き逃さないよう注意するものの
知らないワードや業界用語のようなものも飛び出してきて・・・
途中からは、もはや上の空だった。
そんなさなか
スタッフさんは不意に僕らに対して
「朝食は食べてきました?」
と問いかけてきた。
僕もTDさんも、「いいえ」と、答えると・・
スタッフさんは少し安堵の様子。
カサハラ
「(一体どういうことだろう?このあと朝食の時間でも設けられるのかな?でも、30分も押してるのに・・)」