帰省前日のこと。
自宅を出発する”リミット”までは、約20時間。
僕はまず、近所の「某家電量販店」へ向かった。
”試作品”を作るためには、
およそ100枚のカードが必要となる。
まずはカード用の用紙を
手に入れなければならないのだ。
「これ、打ち合わせの前日にやることじゃねぇ・・・」
どうしようもない思いをグッと飲み込み、
限られた時間の中で”試作品完成”までの
最短ルートを辿ってゆく。
“某家電量販店”に到着すると、
電子機器が並んでいる2階に向かった。
ゆっくり探している暇はない。
エスカレーターを急ぎ足で上ると、
目の前に店員がいた。
カサハラ
「すみません」
店員
「新しいiPhoneに買い替えですか?」
カサハラ
「ちがいます」
数秒間の余計なやりとりのあと、
僕はカード類が置いてある
『プリンターコーナー』の棚に案内された。
軽く店員に会釈すると、
片っ端からカードを漁る。
しかしカードと言っても、
そこに陳列されているのは
「光沢紙」や「マット紙」なるものばかり。
「そうか、ここ一帯はプリンターで写真を
現像するためのカードしか置いていないのか・・」
並んでいるのは、「L判サイズ」や「A2~A4」など、
カードと呼ぶには大きいサイズのものばかり。
「完全にミスった。“某家電量販店”なら、
トランプサイズのカードも置いてあるものかと思っていた・・」
しかし、時間がない。
今からお店を替えてカードを探すのは、
タイムロスが過ぎる。
「この中から選ぶしかないのか・・・」
仕方なく僕は、カードゲームの”カード”として
一番近い用紙を探してみることにした。
すると・・・
「これなら、カードゲームとして遊ぶのには問題ないサイズだ。」
それは、『名刺用のカード』。
理想のサイズよりは一回り小さいが、
そんなことは言ってられない。
「買いだ!」
僕は名刺用のカードを2箱抱えて、
レジへ向かった。
『名刺用のカード』は1箱、100枚入り。
もし印刷時に何か失敗してしまった場合、
1箱だけでは、ほぼ予備がない。
「印刷でミスしなければ1箱で足りるはず。
予備の2箱目は無駄になる可能性が高い・・」
1箱にするか2箱にするか
一瞬だけ悩んだのち
「今重要なことは、いかにタイムロスをなくすかと言うことだ。
2箱買っちゃえばええやん。」
それだけが、決断の理由だった。
レジにつくと、
先ほど案内してくれた店員が対応してくれた。
店員
「お目当ての商品は見つかりましたか?」
カサハラ
「え、ええ・・ありがとうございます」
お会計を済ますと
僕はすぐさま“某家電量販店”を後にした。
帰宅すると、
僕は早速作業机に腰を掛け、
カードのデザイン作りを開始。
「試作品とはいえ、本番のデザインに
少しでもイメージを近づけて考えなければ・・・」
作業スピードと
最低限のクオリティーを重視し
描いては消して・・・
描いては消して・・・・
迫りくる睡魔に耐えて
何度も太ももにムチを打ち鳴らし
作業に没頭してゆくこと・・・
10数時間。
自宅を出発する直前の
早朝6時・・・・
なんとか試作品が完成!!