奇跡という言葉はこういう時に使うものなのかもしれない
カサハラ
「これ以上嬉しいことはないよな・・」
ケイスケ
「はい。だからこそ、その思いを俺たちの芝居で、しっかりと恩返ししたいですよね」
カサハラ
「そうだよね。ただ・・」
ケイスケ
「はい。不安ですね・・」
それぞれが担当した業務は
すべての準備が完了した。
すぐに本番を迎えても
問題がないくらいだ。
しかし・・
当初はそこまで大きな影響を
与えると思っていなかった
”ある部分”が
本番を1週間後に控えた僕らに・・・
大きくのしかかってきた。
それは・・
”演出家の不在”
だ。
当初、僕らは稽古中にお互いの
動きや立ち位置などに関しては・・
お互いで”演出家の目線”になって
指摘しあったり修正しあったりしていた。
それは、とても大事なことで
芝居中に自分を俯瞰して見ることが難しい中・・
お互いの目線からの指摘が
とても重要なものとなっていた。
しかし・・
本番の1週間前。
どんどん芝居の精度を
上げていく中・・・
僕らはお互いに
”個人の動きではなく”
”2人揃っての動き”
そして
”舞台の全体”
がどう見えているか
という部分について・・・
気になり、不安になってきた。
これは”第3者の目”がなければ
確認することができない。
ケイスケ
「やっぱり、ちゃんと演出家を置くべきだったのかもしれませんね・・」
カサハラ
「そうだね、俺ら2人だけじゃ気付けない部分もきっと沢山あるだろうし、今からでも第3者の意見を聞きたいよなぁ・・」
ケイスケ
「はい。でも、第3者が誰でも良いって訳じゃないですからね。ちゃんと”演出”ができる人の目線からじゃないと、逆に精度が下がる可能性もありますし・・・」
カサハラ
「うむむ・・そうだよな・・・」
すると・・・
僕のもとに
一通の連絡が届いた。
「稽古のスケジュール教えて〜。時間空いたら遊びにいくよ〜」
カサハラ
「え!?」
ケイスケ
「どうしたんですか?」
カサハラ
「いや、こんな連絡が、 ”この人” から・・・」
ケイスケ
「・・・・!?・・嘘でしょ!?」
奇跡という言葉はこういう時に
使うものなのかもしれない。
それは・・・
僕らが何度も
舞台でお世話になっている
天才コメディ脚本家
”トネガワさん”
からの連絡だった。
つづく・・・
P.S.
いやぁ〜、本当に紆余曲折ありながら、そして、たくさんの方のお力添えをいただきながら、この2人芝居が出来あがっていったんだなと、当時の記憶を思い出すだけで胸が熱くなりますね・・・
本当に僕の役者人生は、”人に恵まれた”ものだったのだなと、改めて感じることができました。
そして・・
次回は遂に
”最終回”になります。
連載スタートから
およそ2年半。
長いようで・・
あっという間でした。
10年に及ぶ
自分の役者人生を
まさかこのような形で詳細に
お届けできる機会があるなんて・・
本当に毎週感謝の気持ちで
更新させていただきました。
本当に人生において
”無駄なことなどない”のだなと
思うばかりです。
では・・・
ぜひ、最後まで。
お付き合いいただけましたら嬉しいです。
カサハラケント
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ついでに・・・
”写経”代わりを担った
「新釈・さるかに合戦」
の台本を公開します〜
後日談ですが・・
この台本、実弟の小学校の劇で
実際に使ってもらえました。笑
カサハラケント (笠原賢人)
1988年5月17日生まれ
新潟県新発田市(旧紫雲寺町)出身
2011年、大学を卒業後、
役者・絵描き・クリエイター活動を開始。
役者としては、
主に舞台(40本以上)やCM等で活動。
絵描き・クリエイターとしては、
個人や企業・行政から依頼多数。
横浜の商業施設でのグッズ販売に、
ZeppTokyoで開催されたファッションイベントでは
自身作成のロゴがメイン採用。
2019年には、
地元新発田市の図書館で個展も開催。
また、2018年からは
新発田市と共同でプロモーションムービーを制作。
2021年に高校生とともに企画・制作したCMは
「新潟ふるさとCM大賞」で準グランプリを獲得。
その他にも、
舞台やコントライブの脚本や、
人気バンドユニットの小道具制作など
幅広くクリエイター活動を展開。
将来の夢は、
「新発田で映画を撮る」こと。
そして、全国の人に
「新発田」を「しばた」と
読んでもらえるようになること。