『今日から、君の職業は、正式に”役者”だよ』
そう言われた、あの日から・・・
あの”只者ではない演出家”は、
カサハラ青年にとって”社長”となった。
そう、ついにカサハラ青年は念願の
”芸能事務所”に所属することが出来たのだ。
その後、
”プロフィール用”の写真を撮影し、
事務所からも色々な
オーディションにプロフィールを送ってもらい、
”人生初めての撮影”も無事に終了。
そして、幼馴染の役者
”タカモン”からも素晴らしい刺激を受けることができた。
するとそんなさなか・・
事務所の社長から役者としての幅を広げるよう、
”リアル演技”と対極にある”究極の表現演技”を身に着けるため、
日本中の小学校を旅回りする劇団へ
入ることを勧められ
苦手な”歌唱・ダンス”審査に
挑戦するのだった・・・
おじいさん(審査員)
「では、これからオーディションを始めますね~!」
ゴクリ・・
ついに運命のオーディション
スタートの瞬間がやってきた。
おじいさん(審査員)
「よし、そうだ。じゃあ、さっそく、みんなに歌でも歌ってもらいましょうかね~?」
え・・歌!?
審査内容は、【演技審査】じゃないの・・!?
おじいさん(審査員)
「じゃあ誰からいこうかな~?ねえねえ、誰から最初に見たい?」
小柄な女性(審査員)
「え、あ、そうですね・・じゃあ、最初に会場に来た彼はどうでしょう?」
そういうと小柄な女性は、僕の方を指差した。
は?え?は!?
おじいさん(審査員)
「いいね~!じゃあ、一番最初に来た、やる気のある君!」
カサハラ
「え?あ、はい!」
おじいさん(審査員)
「軽く自己紹介してから、さっそく一曲アカペラで歌ってみて~!」
えぇええええ!?!?
おじいさん(審査員)
「ん?どうしたんだい?」
カサハラ
「あ、い、いえ!はい、カサハラケントです!新潟県出身です!えーっと・・・」
まったくもって
おぼつかない状態のまま自己紹介をすると・・
おじいさん(審査員)
「緊張しているようだね~じゃあ、アカペラで好きな歌を一曲お願いできますか?」
カサハラ
「あ、え、好きな曲・・・えーっと・・」
突如として目の前に現れた
”予想外の展開”。
ここでの、”好きな歌”のチョイスが
恐らく僕の運命を決めるかもしれない・・
アカペラで歌うだけならば・・
およそ2年前。
某養成所の入所オーディションの時
僕は福山雅治の楽曲をチョイスし・・
見事に”合格した”
という成功体験がある。
あの時の良いイメージを持って臨めば
も、もしかしたら・・・
おじいさん(審査員)
「じゃあ、何を歌ってくれるかな?」
カサハラ
「えーっと・・・”干拓音頭”を歌って踊ります!」