第22弾「佐渡の恵みを学び舎で醸す」|【R20ここだけの話】気になる日本酒、語らせて
【R20ここだけの話】~気になる日本酒、語らせて~
2023.04.16
知る人ぞ知る新潟の銘酒について、日本酒翻訳家が独断で選び、語るコーナー。今回は夕日がとてもきれいな学校を酒蔵にした「学校蔵」について、現地に行ってまいりました。
絶景スポットにある元小学校
いよいよ新学期。
新しいランドセルを担ぐ小学生や、
ぶかぶかの制服を着た学生さんを見かけることが増えました。
今回は、小学校を酒蔵に改装した「学校蔵」に行ってきました。
今回、どんな小学校だったのか気になって、周りも少し散策してみました。
学校の裏には大きな太陽光パネルが並んでいて、小さな棚田も見えます。
(あ、夢中になって写真撮るの忘れた…)
小学校までの道のり、かなり急な斜面です。
足腰が鍛えられますね。
この傾斜をランドセル担いで登ってくるの、大変だっただろうな…。
でも、この傾斜を登りきると絶景が拝めます。
写真ではわかりにくいですが、海の透明感が美しいんです!
元教務室(職員室)を一部改装した「学校蔵Café」から一望することができます。
毎週金曜日と土曜日、お昼の時間帯に開店します。
※時期により営業時間が異なる場合がございます。
詳細は学校蔵Caféのページをご確認ください。
ここでは、
地域食材とお酒造りの過程で出る
酒粕や麹を活用したメニューを通して、
食の循環促進や食品廃棄物の削減につながる取り組みをされています。
味わいは「音楽」で感じる
今回はこの「学校蔵」で造られた「かなでる/KANADEL」。
画蔵は左から
・純米吟醸生もとLargamente
・純米大吟醸おりがらみPizzicato
・純米吟醸にごりPizzicato 生
です。
佐渡の山、海、川、田んぼをイメージした色が五線譜の上に並んでいます
2022年に誕生した新ブランドのお酒なので、見かけたことがないという方の方が多いかもしれません。
佐渡市が *清酒特区に認定された後、
2022年5月から佐渡の自然との共生を目指す、お酒造りの試みをしています。
佐渡の恵みを生かしながら、新しいお酒造りにチャレンジしていこう。
と、「かなでる」が生まれました。
清酒特区とは
既に清酒製造の免許を受けている者が地域の活性化を目的として清酒製造体験を実施する施設を増設する場合に、既存の製造場とひとつの製造場としてみなす特例
(構造改革特別区域法第27条:「清酒の製造体験のための酒税法の特例」による)
佐渡の恵みが五線譜の上の音のように、
色とりどりの音色を奏でるような味わいを感じてほしい。
そのため、フックになる味のポイントを
音楽用語で表現をされています。
例えば、
Largamente:ゆったりと幅のある味わい
Pizzicato:弾むように軽やかな味わい
勝手なイメージですが、
Largamente の曲といえば、ショパンの遺作
「ラルゴ(Largo)」
Pizzicato の曲だったら、シュトラウス兄弟の
「ピチカートポルカ (Pizzicato Polka)」
がそれぞれ浮かびます。
では
「Largamente」の方からいただきます。
なんとなく、和梨をかじったような
瑞々しい甘さの香り。
それでいて、ミルキーな感じも、ほんのり苦みも、
いろんな要素を幅広く感じられる、ゆったりとしたお味。
「Pizzicato」の方も、それぞれいただきます。
…毎度緊張するのが「活性にごりの口開け」です。
以前、入手したての活性にごり酒を開栓した瞬間、半分はキッチンに飲まれましたからね…。
なので、冷蔵庫で3日寝かせて、おりが動かないようにそっと机に置いて、
呼吸を整えて、ゆっくりフタを開けました。
開けた瞬間、飛び出すことはなかったのですが、
おりが自動的に混ざっていきます。
まるでスノードーム逆バージョン。動画をお見せできないのが残念です。
さて、準備ができたところで、いただきます!
「おりからみ」の方が瑞々しい甘さのある香り、
「にごり」の方は蒸した栗のようなホクホクした香り。
どちらも発泡感が軽やかで、気分も弾みます。
生もとの程よい酸味とお米のゆったりした味わいを「『ラルゴ』みたい」
おりがらみの方も、微発泡のシュワシュワ感を「『ピチカートポルカ』みたい」
音楽で味の雰囲気伝えられるのって、曲のイメージも相まって素敵ですね。
皆さま、言霊って信じますか?
私は文芸部の友人から「温ちゃんの『温』って、ぬる燗の『ぬる』なんだね。明日から『ぬるこ』って呼ぶね!」
と言われ、(20歳超えてから)日本酒が好きになり、好きが高じて、気づいたら商社で日本酒の翻訳を担当していました。
新潟の日本酒について語り、皆さまに「このお酒飲んでみたい」と思われるような記事をお届けします。