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笑いのカミサマ


カサハラ
「かなり重い・・ですか?」

UPさん
「うん。このシーンが面白いと思っているお客さんも、周りがあまり笑わないと『あれ?違うのかな・・?』って思ってしまって、笑い声を出すのを躊躇ってしまってる可能性が高いな〜。まぁ、実のところ、お客さんみんなが同じようにそう思ってしまっているだけで・・本当は面白いシーンのはずなのに、みんな笑い声を出せなくなって、”重たい”空気を作り出てしまうという、悪循環にね・・」


カサハラ
「でも、それなら・・・お客さんはみんな面白いと思ってる訳なので、別に悪くはないんじゃ・・・」


UPさん
「いや、そうはならないな・・」


カサハラ
「え?」


UPさん
「これは、前にケントにも少し話したことだけど・・いつも稽古場で笑いが起きてたシーンで、本番に笑いが起きなかったらどう思うかい?」


カサハラ
「あ、それは・・不安になりますね・・」


UPさん
「そう。不安になってしまうと、本人はそのつもりじゃなくても、無意識のうちに、セリフスピードが早まってしまったり、会話のテンポが早まったりしてしまったり・・”相手がいて成立する”お芝居が、どんどん歪な形になってしまう」


カサハラ
「あぁ・・」


UPさん
「そうなると・・・稽古で詰めてきた”笑いを生むための芝居の精度”というものも、どんどん落ちていって・・お客さんも遂には”面白くない”から”笑わない”、という最悪の状況になってしまうんだ」


カサハラ
「そ、そんな・・この状況を変えるには、どうしたら良いんですか・・?」


UPさん
「それは、単純なことだよ」


カサハラ
「え?」


UPさん
「客席に、”笑いを起こす”ことだよ」


カサハラ
「笑いを起こす・・」


UPさん
「さて、そろそろ、ケントの出番だ」


カサハラ
「え?もう、そんな時間ですか?!」


僕は慌てて
登場の支度を整える。


UPさん
「本番初日の成功は・・・




”笑いのカミサマ”である
ケントの手にかかってるよ」



カサハラ
「わ、笑いのカミサマ!?」



つづく・・

P.S.

いやぁ〜、この客席が”かなり重い”という状況・・・何度も経験しましたが、慣れることはなかったですね。汗
めちゃくちゃ不安になりますし、絶対そうじゃないんですけど、ヤバイ時は、客席から睨まれいるように思ってしまうこともありましたもん。笑

次回!!

”笑いのカミサマ”。登場直前に、そうUPさんから名付けられ、本番初日の命運を託されたカサハラ青年。その期待に応える活躍を・・できるのか!?できないのか!?はたまた、その”両方”なのか!?

お楽しみに〜!

カサハラケント

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カサハラケント
カサハラケント (笠原賢人) 1988年5月17日生まれ 新潟県新発田市(旧紫雲寺町)出身 2011年、大学を卒業後、 役者・絵描き・クリエイター活動を開始。 役者としては、 主に舞台(40本以上)やCM等で活動。 絵描き・クリエイターとしては、 個人や企業・行政から依頼多数。 横浜の商業施設でのグッズ販売に、 ZeppTokyoで開催されたファッションイベントでは 自身作成のロゴがメイン採用。 2019年には、 地元新発田市の図書館で個展も開催。 また、2018年からは 新発田市と共同でプロモーションムービーを制作。 2021年に高校生とともに企画・制作したCMは 「新潟ふるさとCM大賞」で準グランプリを獲得。 その他にも、 舞台やコントライブの脚本や、 人気バンドユニットの小道具制作など 幅広くクリエイター活動を展開。 将来の夢は、 「新発田で映画を撮る」こと。 そして、全国の人に 「新発田」を「しばた」と 読んでもらえるようになること。