旅劇団での1年間の役者修行を終えて、
東京に帰ってきたカサハラ青年。
”究極の表現演技”を身につけることで、
社長の求める”究極のリアル演技”に近づくことができる・・はず。
そう信じていたカサハラ青年だったが・・
彼を待ち受けていたのは、
予想だにしない”笑撃”の展開。
コメディ舞台への挑戦だった・・・
UPさん
「さて、そろそろ、ケントの出番だよ」
カサハラ
「え?もう、そんな時間ですか?!」
僕は慌てて
登場の支度を整える。
UPさん
「本番初日の成功は・・”笑いのカミサマ”である、ケントの手にかかってるよ」
カサハラ
「わ、笑いのカミサマ!?」
わ、笑いのカミサマとは一体・・・
そんなことを
考える余裕もなく・・
僕は舞台袖にスタンバイし
”お化けハンターの相方(女性)”と
登場の瞬間を待った。
すると・・
「ドクン・・ドクン・・・」
な、なんだ、この鼓動の高鳴りは・・
手足が急に震え出す。
全身に緊張が走る。
「(今までに無いくらい、緊張してる・・)」
こんなことは、今までなかった。
本番直前に手足が震えるなどの
緊張は、これまでもあった。
しかし、今回は・・
それまでと次元が違うほどの
緊張が僕に襲いかかってきた。
口から内臓が
飛び出そうになるくらいのものだ。
これは間違いなく・・
「(極限のプレッシャーからくるものだ・・・)」
初めてのコメディ舞台。
その初日の初登場シーン。
そして・・・
客席は”かなり重い”状態。
そんな中、僕の役割は
”笑いを起こす”こと。
僕の出来次第でこの作品が
”雲にでも泥にでも”なる。
「(絶対に失敗できない・・絶対に失敗できない・・)」
そう頭の中で繰り返していた
その時だった。