そして
「運命の3日間」
最終日を迎えた。
朝起きてから、
まずは湯船に浸かり・・
しっかり身体をほぐしてから
布団の上で柔軟体操。
そして、
電車の移動中には
スマホで「調べもの」をし・・
会場の最寄り駅に着くと、
缶コーヒーを買って、それを一気に飲み干した。
会場へ向かって歩いている最中にも
リュックの中身を最終チェック。
「動きやすい服装」は
上下ともバッチリ入っている。
最終日の今日もきっと、
“予想を裏切る展開”が待っているに違いない。
だけど
少しでもそれに対応できるように、
一つずつ可能性をつぶしていく。
それは・・
自分自身を信じる気持ちを
「切らさないため」でもあった。
そして、会場に到着。
入口の扉を開けるときの、
計り知れない緊張感は・・・
これまでの2日間とは、
明らかに違っていた。
心と身体のすべてが・・
「今日と言う日が・・
“人生を変える日”になるかもしれない」
そう感じていたのだ。
「オハヨウゴザイマス」
この日もストレッチレディが
スタジオの受付で迎えてくれる。
僕
「おはようございます。宜しくお願いします」
ストレッチレディ
「デハ、男性ハ、アチラノ更衣室デ、オ着替エクダサイ」
僕は更衣室に入ると早速
「動きやすい服装」に着替える。
最終日も同じく上は
「kasahara」と入ったサッカーユニフォーム、
そして下は
「短パンのジャージ」に履き替えた。
ここまでの準備は、
正しく万全だ。
あとは、「己」次第。
更衣室から出て、
スタジオの空いているスペースに腰を下ろす。
すでにスタジオには2日目に参加していた
ほぼ全員が、最終審査を今か今かと待っている。
それぞれの表情は、緊張感に満ちたものから、
笑顔でリラックスしているものまで、様々だった。
しかし、みな一同に
この「3日目」に懸けてきている
その雰囲気は、
ジンジンと伝わってきた。
「大丈夫だ」
不安になりかけた自分の気持ちを制するように、
僕は小さくつぶやいた。
僕だって、このオーディションに
「人生」を賭けているんだ。
自分を信じろ。
やればできる。やればできる。
そして「3日目」の
審査、開始時刻を回る。
それと同時に、
スタジオに続く階段の上から
扉の閉まる音が聞こる。
「ズシン、ズシン」
階段を下りてくる足音が
ゆっくりと近づいてくる。
みな、一瞬にして表情が引き締まる。
演出家
「ではこれから、最終日の審査を始めます」