最終日の審査は、
時間通りに開始された。
これまでと同様、
まずは、ストレッチレディが
スタジオの真ん中へ進んでいき・・
本来ならば
“ヨガ”と名前を変えるべきである
「柔軟体操」から始まる。
ストレッチレディが織りなすヨガポーズに、
僕は歯を食いしばりながら、必死になって食らいつく。
一瞬たりとも、
気持ちもチカラも抜きたくない。
あとで後悔するようなことだけは、
絶対にしたくなかったからだ。
そして、およそ20分間の
「柔軟体操」を終えると・・・
連日と同様
「調べてきたこと」の発表時間となった。
「来たか・・・・」
みな一同に、身構える。
演出家
「では、調べてきたことを発表したい人?」
一同
「はい!はい!はい!」
みな一斉に手を挙げ、
必死にアピールする。
もう、逃すまいと・・
もう、一度たりともチャンスも逃すまいと・・
みな前のめりになって、手を挙げ続ける。
もちろん、僕も一緒だ。
「これ以上、チャンスを逃してたまるモノか・・!」
そして・・
演出家は、
まず“一人目”を指名した。
「じゃあ、君、調べてきたことを発表して」
一人目
「は、はい・・・!」
「どうしよう・・」
僕は、この日の朝。
電車に乗りながら
「調べてきたこと」の発表で
何を話すかを悩んでいた。
前日の2日目で結局、
話すことなく終わってしまった
「ネタ」があったので、
そのネタで最終日も勝負に挑もうと
当初は思っていたのだが・・・
この日は何故か、
それがしっくりこなかった。
それは、“とある疑問”が
生まれてきたからである。
「この発表って・・
単純に調べてきたことを話すだけで
本当にいいのだろうか・・?」
今の時代「スマホ」があれば
なんでも簡単に調べることが出来る。
例えそれが、自分にとって
“無関係のモノ”でも
“興味のないモノ”でも、だ。
僕の中に突如現れた
得体のしれない疑問は・・
まだまだ続いていく。
「興味のないモノを調べて発表したからって、
果たしてそれは正解なのか・・?」
「この審査の“本当の意図”は、
もしかしたら他にあるんじゃないか・・?」
考えれば考えるほど、
その疑問は大きくなってゆく。
僕は電車に揺られながら
「初日」と「2日目」に行われた
「調べてきたこと」の
発表の様子を振り返ってみた。