車内アナウンス
「次は終点、”熱海”〜”熱海”〜」
あれは、3年ほど前になるだろうか・・・
某養成所で、”審査会”なる
究極にプレッシャーのかかるイベントの後。
何かから逃げるように・・
何かから解放されたいがために・・・
僕は気がつくと、
この熱海の地に降り立っていた。
なぜ、熱海なのかは・・・
正直わからない。
もしかしたら・・・
最寄り駅へ向かうJR線の終点が
ただ”熱海”だったからかもしれない。
乗っている電車の終点が他の駅だったら・・
そこに降り立っていたかもしれない。
理由はないのだ。
ただただ、遠くへ遠くへ・・・
何かに押しつぶされそうになると・・
ただただ遠くへ、行きたくなるのだ。
カサハラ
「(さて・・どうしようか・・・)」
社長からの問いへ
回答しなければならない。
カサハラ
「(コメディー舞台のオファーを、受けるか・・・断るか・・・)」
僕は、熱海の浜辺まで向かい、
近くのベンチに腰を下ろした。