・・・・・15分後。
スラっとした男性
「はい、劇中歌はこれで全てになります」
カサハラ
「(や、やべえ・・・ほぼ全部の劇中歌、主役が担当してるじゃねぇか・・・)」
キャスト全員で歌うシーンもあれば、
当然”主役”がソロで歌うシーンも沢山ある。
カサハラ
「(莫大なセリフ量に加えて、こんなにも歌唱パートがあるとは)」
まぁ、”主役”ならば
このくらいは当たり前なのだろうけど・・・
これまでアンサンブルやちょい役だけでの
出演がメインだった僕にとっては・・・
まさに未踏の世界。
カサハラ
「(”究極の表現演技”の修行を・・と意気込んでいたけれど・・これは想像以上に過酷なものになりそうだ・・・)」
すると・・
強爺
「児童向け作品に出演する役者であれば、このくらいの楽曲はすぐに覚えてもらわなければ困る。次の稽古までには覚えてくるように」
カサハラ
「(えぇ!?)」
強爺
「次回の稽古はいつかね?」
小柄な女性
「3日後です」
強爺
「3日後か。まぁ、それだけ時間があれば余裕だろう。楽譜も渡しているんだから」
カサハラ
「(え?)」
強爺
「当然だが、私の演出する作品に出る者は、最低限”楽譜くらい”は読めていなければ、話にならないからね」
カサハラ
「(が、楽譜を読む・・どういうこと?)」
スラっとした男性
「では、一度休憩を挟んで、今日は台本読みをしてから終了にしましょう」