『今日から、君の職業は、正式に”役者”だよ』
そう言われた、あの日から・・・
あの”只者ではない演出家”は、
カサハラ青年にとって”社長”となった。
そう、ついにカサハラ青年は念願の
”芸能事務所”に所属することが出来たのだ。
その後、
”プロフィール用”の写真を撮影し、
事務所からも色々な
オーディションにプロフィールを送ってもらい、
”人生初めての撮影”も無事に終了。
そして、幼馴染の役者
”タカモン”からも素晴らしい刺激を受けることができた。
するとそんなさなか・・
事務所の社長から役者としての幅を広げるよう、
”リアル演技”と対極にある”究極の表現演技”を身に着けるため、
日本中の小学校を旅回りする劇団の
オーディションに挑戦し、
見事に?主役の座を勝ち取ったのだった。
強爺
「君は、主役だよな?」
カサハラ
「は、はい・・・」
強爺
「私が”演出”の稽古に遅刻するなんて、いい度胸してるじゃないか」
カサハラ
「え、ええええ、演出!?」
僕の役者修行1日目は・・
最悪の形で幕を開けた。
「では、キャストが全員揃いましたので、自己紹介といきましょう」
と、スラっとした男性の進行で
全員が簡単に自己紹介をしていった。
僕以外のキャスト4人は・・
以前からこの旅劇団の公演に参加されていた
”馴染み”のメンバーが2人に
スタッフさんの
紹介で参加したメンバーが1人
そして、僕と同じ
オーディション組のメンバーが1人。
と言う感じだった。
「カサハラさんが来るまでは、劇中で歌う楽曲をみなさんに聴いてもらっていたので、もう一回、改めて全員で聴きましょうか」
と、スラっとした男性は僕に楽譜を手渡してくれた。
カサハラ
「(劇中歌・・・僕が歌うシーンはどのくらいあるんだろう・・」
事務所からあらかじめ
送られていた台本データには・・・
”ここで歌唱”
とト書きで書かれていたシーンがいくつかあったが
どんな曲を誰が歌うかまではハッキリとは記載されていなかった。
スラっとした男性
「じゃあ、順番に曲を流していきますので、楽譜を見ながら頭に入れてくださいね」
カサハラ
「は、はい・・」