カサハラ
「え?同じシーンを・・もう一回撮るんですか・・?」
TDさん
「あ、映像の現場はね、1シーンの撮影で、いろんな角度からカメラを回すから、僕ら役者は同じシーンの演技を何回か繰り返すことになるんだよ」
カサハラ
「え、そうなんですか?」
TDさん
「よく、映画やドラマなんかでも、1つのシーンで役者の顔に寄った映像だったり、手元に寄った映像だったり、全体を映す俯瞰の映像だったり、いろんな角度にカメラが切り替わったりするでしょ?」
カサハラ
「あ、確かに・・会話してるシーンとかだと、2人の顔が交互に映りかわったり・・」
TDさん
「そう、ああいうのは、全部カメラの位置を変えて、何度か撮影を繰り返してるんだよ」
カサハラ
「あ、そういうことだったんですね・・・!てっきり、何台もカメラがあって、一度にいろんな角度から撮影してるのかと思ってました・・!」
TD
「まぁ、撮影の規模によってはそういう撮り方ももちろんあるけど、カメラ1台で撮影する現場とかだと、一度にはいろんな角度から撮れないから、何回かアングルを替えて撮ることが必要なんだよ」
カサハラ
「なるほど・・勉強になります・・!」
と、スタッフさんがカメラ位置を変えている間に
TDさんは優しく詳しく、僕に映像現場のイロハを教えてくれた。
スタッフさん
「では、準備できましたので、今のシーン、もう一回行きますね!」
そう言うと、スタッフさんは
クーラーボックスの中から再び”アイスクリーム”を取りだして・・
パッケージを剥がした状態で僕らに手渡してきた。
スタッフさん
「2人の雰囲気とても良い感じだったので、“さっきと同じように”もう一回お願いしますね~!」
2人
「はい!」
今度はカメラの位置的に、
“TDさんがメイン”で映る模様。
カサハラ
「(今回は、僕は映らないかも・・でも、さっきと同じような雰囲気を作り出すために、僕もしっかりとやらなければ・・!)」
スタッフさん
「では、行きます・・よ~い、ハイ」
スタッフさんの合図で、2回目の撮影が開始した。