僕と完全ヤンキーは
客席の扉から入り
舞台上へと向かって歩いた。
カサハラ
「わぁ・・・・凄いな・・」
さっきまでは
バタバタと落ち着かなかったので
今度はゆっくりと
ステージ上を眺めてみた。
今回の舞台のセットは
閉ざされた“密室”
冷たい打ちっぱなしの
コンクリートの壁に
8台のパイプ椅子。
そして
部屋の中央には
“殺害現場が再現された大きな模型”。
がテーブルの上に
どっしりと置かれている。
さらに・・
その模型の真ん中には
“容疑者8人”と“被害者”を模した
9つの“フィギュア”も配置されている。
作品では、
容疑者8人はこの
“殺害現場が再現された大きな模型”
と
9つの”フィギュア”
を使って、殺害時刻の
自らのアリバイを証明してゆく。
そんな話の舞台だ。
セットの見た目自体は
とても簡素化されている。
しかし・・・
それが逆に
“リアル”であった。
カサハラ
「凄いセットですね・・」
完全ヤンキー
「あぁ、この作品の世界観が忠実に作られた凄いセットやな」
何だか僕は・・・
胸が熱くなってきた。
カサハラ
「このステージに、明後日、僕たちも立つんですね・・」
完全ヤンキー
「せやで、俺らは“役者”なんやから」