その後、
ステージ上と客席の準備が出来てから
前日のゲネプロ前と同じように
完全ヤンキーから教えてもらったウォーミングアップ方法で
心と身体を本番に向けて整えていき・・
開演の45分前。
全キャストと舞台監督
そして演出家がステージ上に集合となった。
舞台監督
「では、15分後に開場となり、お客さまが劇場に入ってこられます!開場後は、ステージ上・客席には出て来れなくなりますので、それまでに小道具やセットなど、芝居で必要な準備は必ずチェックしておいてください!」
キャスト
「はい!」
舞台監督
「では、演出家から一言お願いします」
演出家
「はい。みなさんおはようございます」
キャスト
「おはようございます!」
演出家
「おかげさまで初日の公演は、A・Bキャスト共に”満席”となりました。つまり、この客席の全てがお客様で埋まることになります」
キャスト
「・・・・」
演出家
「もしかしたら、お客様が入ることで、稽古中や昨日のゲネプロと比べて、雰囲気が異なる可能性も十分ありえます」
キャスト
「・・・・」
演出家
「それは、お客様の“生の反応”によるものです。もしかしたら、不意にお客様から声が漏れることも、悲鳴が上がることもあるかもしれません。これは、そういう作品です」
キャスト
「・・・・」
演出家
「でも、みなさんは、そんなことは一切気にする必要はありません。いえ、気にしたら、終わりです。その瞬間、この作品の世界観が破壊されてしまいます」
キャスト
「・・・・・・・」
演出家
「でも、単純なことです。やることは何も変わりません。稽古で積み重ねてきた通り、この作品の世界の中で、みなさんには、ただただ“生きて”いただくだけです」
キャスト
「・・・・」
演出家
「さぁ、この舞台を・・・・お客様に”目撃”してもらいましょう」
キャスト
「・・・はい!!!!」
さすが演出家、只者ではない。
彼の織りなす言葉によって、僕ら役者陣のみなの意識が
一気に”同じ方向”をむいたのを、しっかりと感じることができた。