まずは、一旦落ち着くことが重要だ。
こうなってしまっては、
冷静に今の状況を把握することが大切だ。
僕は思い切って
暗闇の中に向かってこう問うた。
カサハラ
「これって・・・、稽古中ですよね?」
一瞬、あたりに静けさが訪れた。
すると、一人が返答してきた。
容疑者A
「は?何、言ってんだ・・・稽古ってなんだよ・・!」
カサハラ
「え?これって稽古じゃないんですか・・!?」
容疑者A
「知らねぇよ!目が覚めたら、ここに監禁されてたんだよ!」
カサハラ
「え!?」
ど、どうゆうこと!?
これって、稽古じゃないの!?
そんな時・・・
「フフフ・・・」
再び不気味な笑い声が聞こえてくる。
誰!?誰の笑い声なの!?
何が可笑しいというのだ!!
怖い怖すぎる・・・!!!
すると、
容疑者B
「とりあえず何か明かりを探そう・・みんな携帯は持ってないか?」
暗闇の中から、
そう提案する声が聞こえてきた。
そうだ・・!
僕は、いつもズボンの
ポケットにスマホを入れているので
手錠で掛けられながらも
なんとかポケットの中に片手を突っ込んだ。
スマホはもちろん
明かりとしての役割も持つ。
しかし、
ここでの本当に重要な役割は
”助けを呼べる”アイテムであるということだ。
まずは、
電波が入っているかを確認して
もし入っていたならば、
すぐに助けを求めよう・・!
が・・
「あ・・稽古前に動きやすい恰好に着替えたんだった・・」
周りの者たちもおのおの
自分の携帯電話を取り出そうとしていたが
みな、手元に所持していなかったようだ。
明かりをつけるための手段は
ひとつ消え去ってしまった。
すると、男の声が室内に響き渡る。
容疑者C
「壁や!ここに壁があるで!!」
壁があるということは・・・
壁づたいに歩いてゆけば電気のスイッチ、
もしくは、出口に繋がる扉にたどり着けるかもしれない。
容疑者B
「よし!壁づたいに何か電気のスイッチがないか探してくれるか!?」
容疑者C
「わかった!」
他の者たちが上手くコミュニケーションをとり、
だんだんとこの窮地から脱する道筋が見えてくる。
カサハラ
「よし!僕も力にならないと・・!」
そう思い、
僕も声の聞こえた方にゆっくりと進んでいくと、
カサハラ
「壁だ!こっちにも壁がある!」
容疑者B
「でかした!君もその壁づたいに電気のスイッチを探してみてくれないか?」
カサハラ
「はい!あと、出口がないかも探してみます!」
容疑者B
「ありがとう!宜しく頼む!」
僕は、誰かに頼られると
俄然やる気に満ち溢れるタイプ。
この極限の中でも、周りには仲間がいる。
そして、
その仲間は、僕を頼ってくれている。
それが、
恐怖の中でも、僕の原動力となった。