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ここは、一体・・・




僕は、壁づたいにゆっくりと進んでゆき、
手触りだけで電気のスイッチを探してはみるが・・


簡単には見つからない。



この空間が、
どのくらいの広さなのかも分からない。


ゆっくり進んでいるだけでは、
いつまで経ってもスイッチを見つけることができないかもしれない・・



僕は、歩くスピードをあげて

早くこの窮地を脱するため、そして
みんなの期待に応えるために躍起になった。


すると・・・


ゴチン!!!

あイタっ!!!




反対側から壁づたいに歩いてきた者と
頭同士をぶつけてしまった。



カサハラ
「す、すみません!!」


容疑者C
何してんねん!はよ反対側に戻れや!


カサハラ
「は、はい・・」



怒られた。


僕だけが悪い訳ではないのに・・
と、少し釈然としなかった。






すると・・・


容疑者D
スイッチがあった!




別の方向から声が聞こえてきた。



僕と頭ゴチン男以外にも、

壁づたいに電気のスイッチを
探していた者がいたようだった。




よしっ・・・

これで、一旦この危機を回避できるはずだ。



容疑者D
電気、つけます!!





パチン。




室内の明かりが付いた。




どのくらい暗闇の中で
右往左往していただろうか・・




明かりが付いた瞬間、
そのまぶしさに僕は目を細めた。






カサハラ
ここは、一体・・・












はい。一旦終了。



演出家がストップの合図をした。



そう。


ちゃんと、ここは“稽古場”


ここまでの一連の流れも
“冒頭のト書き”の稽古そのままだった。



まぁ、冷静に考えればそうである。




ただただ僕は、急遽言い渡された
“代役”という状況にパニックに陥り・・・



良く分からない妄想と現実が並行したまま
あれよあれよという間に稽古がスタートし・・・


気が付けば、
“冒頭のト書き”のシーンが終了。



という感じだった。


カサハラ
なんか、すごく不思議な感じだったな・・・



これが、僕にとって
初めての“舞台稽古”の感想だった。



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カサハラケント
カサハラケント (笠原賢人) 1988年5月17日生まれ 新潟県新発田市(旧紫雲寺町)出身 2011年、大学を卒業後、 役者・絵描き・クリエイター活動を開始。 役者としては、 主に舞台(40本以上)やCM等で活動。 絵描き・クリエイターとしては、 個人や企業・行政から依頼多数。 横浜の商業施設でのグッズ販売に、 ZeppTokyoで開催されたファッションイベントでは 自身作成のロゴがメイン採用。 2019年には、 地元新発田市の図書館で個展も開催。 また、2018年からは 新発田市と共同でプロモーションムービーを制作。 2021年に高校生とともに企画・制作したCMは 「新潟ふるさとCM大賞」で準グランプリを獲得。 その他にも、 舞台やコントライブの脚本や、 人気バンドユニットの小道具制作など 幅広くクリエイター活動を展開。 将来の夢は、 「新発田で映画を撮る」こと。 そして、全国の人に 「新発田」を「しばた」と 読んでもらえるようになること。

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