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そのセリフを”採用”


10分間の休憩後・・


演出家
では、再開します



演出家の合図で、
再び”遺族登場のシーン”が行われた。


”自由にセリフを話していいよ”


と言われてから、
2回目と言うこともあり・・


完全ヤンキーをはじめ、
”遺族たち”メンバーは


お芝居の最中に時折
「自由にセリフ」を
差し込むよう心掛けていた。



それは


うまく台本の流れに沿うモノだったり

中には

流れを切ってしまい
ぎこちなくなってしまうモノだったりと・・



みな失敗を恐れずに
とにかくセリフを差し込んでいった。


しかし・・


僕は、結局2回目も
”セリフを話すこと“が出来なかった。




演出家
うん、いいですね



僕を除く遺族たちは
演出家からの言葉に少し安堵した。


演出家
挑戦することはとても良いことです。しかし、台本の流れを分かって差し込んでいるセリフが多いですね、そんな気遣いは必要ありません。もっと、遺族たちの存在意義、自然に生まれてくる感情に素直に従ってください



遺族たち
「は、はい・・・」



言っていることが
分かるようで分からない、そんな感覚だった。


演出家
あと、ヒノウエ



ヒノウエさん
ハ、ハイ・・!



演出家
途中で、流れを切るようなセリフを差し込んだな。どうしてだ?



ヒノウエ
ハイ、その時、ふと感じたことを、ソノママ言葉として出してしまいました・・



演出家
なるほど。よし、じゃあ、ヒノウエは、そのセリフを”採用”しよう



ヒノウエ
ア、アリガトウゴザイマス!



演出家
あと、“遺族たち”以外のみなさんも、注意してください。普段の生活では、会話の途中に急に流れが切られるようなことも、自然にありえます。台本の流ればかり追っていたら、それに対応することは難しくなります。台本の流れには最低限沿いながら、ちゃんとその場に存在し、”普段の生活”のように対応してください。



その演出家の言葉を聞いて
容疑者8人や、メインの遺族3人も

改めて、
求められているモノの難しさを

実感した様子だった。


演出家
ヒノウエ以外の遺族たちは、まだ採用するセリフは決まっていません。10分後に再び今のシーンを行います。楽しみにしています



そういうと、
演出家はスタジオの外へ消えていった。
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カサハラケント
カサハラケント (笠原賢人) 1988年5月17日生まれ 新潟県新発田市(旧紫雲寺町)出身 2011年、大学を卒業後、 役者・絵描き・クリエイター活動を開始。 役者としては、 主に舞台(40本以上)やCM等で活動。 絵描き・クリエイターとしては、 個人や企業・行政から依頼多数。 横浜の商業施設でのグッズ販売に、 ZeppTokyoで開催されたファッションイベントでは 自身作成のロゴがメイン採用。 2019年には、 地元新発田市の図書館で個展も開催。 また、2018年からは 新発田市と共同でプロモーションムービーを制作。 2021年に高校生とともに企画・制作したCMは 「新潟ふるさとCM大賞」で準グランプリを獲得。 その他にも、 舞台やコントライブの脚本や、 人気バンドユニットの小道具制作など 幅広くクリエイター活動を展開。 将来の夢は、 「新発田で映画を撮る」こと。 そして、全国の人に 「新発田」を「しばた」と 読んでもらえるようになること。

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