社長
「演技論というものは、本当にいくつもあって、僕が取り入れているのは、究極のリアルを追究する”メソッド法”というものになります」
カサハラ
「メソッド法・・・」
社長
「メソッド法は、海外では主流の演技法であるけれど、日本ではあまり馴染みがありません」
カサハラ
「なぜ、日本では馴染みがないんですか?」
社長
「それは、日本の“芸能の歴史”が関係しています」
カサハラ
「日本の芸能の歴史・・・ですか?」
社長
「日本で昔から馴染みのあるお芝居って、なんだか分かるかい?」
カサハラ
「昔から・・・えーっと、歌舞伎とかですか?」
社長
「うん、そんな感じだね。じゃあ、歌舞伎ってどんな演技をするか知っているかい?」
カサハラ
「すみません・・あまり、歌舞伎は詳しくなくて・・・」
社長
「じゃあ、教えてあげよう。歌舞伎って言うのは、見てわかるように、“リアル”とはかけ離れた、”表現演技”なのだよ」
表現演技・・・
カサハラ
「ってことは・・・」
社長
「そう。日本で主流の演技は、昔から”表現演技”という訳です」
その瞬間、すべてが繋がった気がした。