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「なんだろう、ここは・・・」





目の前は、真っ白だ。





静寂のなか、どこか遠くのほうで


飛行機か何かが飛んでいるような、
わずかな音が聞こえてくる。

それが、僕の鼓膜を、ゆっくりと揺らす。





何だろう、このふわふわした感覚は・・・

まるで雲の中で浮いているようだ。






全てから解放されたような、
とてもすがすがしい、そんな気持ちだった。







「これって、もしかして・・・






夢の中?・・・」







たまに僕は、深夜ぐっすり眠っているとき、
「自分が夢の中にいる」ことが、“分かる瞬間”がある。



いつも夢の中では、非現実的なことばかり起こるけど、

その中でも、イマジナリティの度を越えすぎると



「夢の中にいる」と、気づくのだ。





「そうか。僕はまた、“変な夢”を見ていたんだ・・」








思い返せば、
非現実的なことだらけ。


今まで見ていた夢が走馬灯のように、
うっすらと頭の中をめぐる。



「朝8時にアルタ前集合ね!
いいともに出るわよ!」



急にそんな連絡が来て、


良く分からないまま
次々とオーディションを通過して、




伝説の国民的テレビ番組
「笑っていいとも!」


の生放送に出演が決定。






芸能の道を目指している僕にとっては、
イマジナリティーを超えた


まさに“夢”のようなお話。








「変な夢だったな・・」



きっと僕は、
タカモンと交わした


“あの日の約束”のことが
どこか心の隅でずっと引っかかっていて、



だけど、その約束を諦めきれなくて
でも、何もできなくて・・・



だからといって、就職活動をする訳でもない。
現実を見ないまま、いや見ることができないまま・・・




この夢はきっと、

「何者でもない」に僕に向けた



“僕自身”からの警告だったのだ。







すると突然、僕の目の前に、
羽根の生えた小さな女の子がやってきた。





「あなたは?」




天使
「私は天使。
私はあなたを、“変な夢”の中から、救うためにやってきたの。」





僕の夢には、よく天使が出てくる。





「・・・そうなんだ。」


天使
『ケントさん。もう、夢を見る時間は終わったの。自分でも、ちゃんと気づけたでしょ?
さぁ、起きて、大学に行くわよ。ちゃんと勉強して、ちゃんと就職活動もするの』



「でも・・」


天使
『大丈夫、心配はいらないわ。私がいつもついてるから』






良心に包まれた天使は、
優しく僕に語り掛けている。





「ありがとう。僕これからは、ちゃんとするね。」



天使
「フフ、その調子よ」



そう微笑むと、羽根の生えた天使ちゃんは、
優しく僕の手を取り、青空の彼方へいざなおうとした。





すると・・






『ケント!ケント!』



後方から、
僕を呼ぶ声が聞こえてきた。




こういうときは決まって
「悪魔のささやき」が聞こえてくるもの。



きっと悪魔が僕をまた
“変な夢” の奥へ引きずり込もうとしているのだ。





「(僕は決めたんだ。もう“変な夢”じゃなく、
ちゃんと“現実”を見るってね)」




すると次は、向かって左からも、
別の悪魔の声が聞こえてきた。



悪魔2
「では、お名前をどうぞ!」




「え?」



悪魔1
「ほらケント!ちゃんと答えて!」



「え?え?何これ?」




なんだろう、この悪魔たち。
夢の中とはいえ、変なことばかり言ってくる・・・





僕は、後ろを振り返ってみた。
すると・・



そこには、
“Nさん”そっくりの悪魔がいた。





「(あれ?Nさん、なんでこんなところに?)」





僕は続けて、左にいる悪魔を見た。


横にいた悪魔は
“オードリーの若林さん”にそっくりだった。






あれ?・・
僕、なにか大事なことを忘れているような・・・・

あれ?・・・・







”ふわぁ~~~~~ん”






目の前の真っ白な景色が、だんだん色づき始める。

静寂だったはずの空間には、色んな音が重なり始める。




視線の奥には、何台ものテレビカメラ。

その手前には、人で溢れかえらんばかりの観客席。




だんだんと景色は鮮明になる。



僕の左横には、オードリーの若林さん。

そして、反対側には同じくオードリーの春日さん。




そして、ステージ上には


草彅剛さん、久本雅美さん、関根勤さん、

オリエンタルラジオの中田さんと、藤森さん。



そして・・・



優しい笑顔で微笑む、
タモリさん。





こ、これは・・・・







「夢じゃないじゃない!」




僕は極度の緊張あまり


一瞬、意識が飛んでいた。






今は「いいとも!」の生放送。
そして、僕の出番の真っ只中・・・


これは・・・・夢ではないのだ!!!







Nさん
「ケント!しっかりして!」




「は、はい・・」



若林さん
「では、お名前をどうぞ!」





「えーと・・・」








数分後











若林さん
「では、カサハラさん、ありがとうございました~」


パチパチパチ・・・








僕の出番は、
あっという間に終わった。








本当に一瞬のこと過ぎて、

本番中、何を聞かれたのか、何を話したのか・・



今も全く覚えていない。

ちゃんと自分の名前を答えられたかすら怪しいくらい。




ただ、ひとつだけ確かなのは
あの“憧れのステージ”に立てたこと。




溢れんばかりの観客に、

錚々たる「いいとも!」金曜レギュラーのみなさん。

そして、テレビカメラ越しで幾千万の視線が・・・





たとえ一瞬の間だけでも、

その数多の視線が僕に注がれていたのだと思うと、







僕は、身体の震えが止まらなかった。



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カサハラケント
カサハラケント (笠原賢人) 1988年5月17日生まれ 新潟県新発田市(旧紫雲寺町)出身 2011年、大学を卒業後、 役者・絵描き・クリエイター活動を開始。 役者としては、 主に舞台(40本以上)やCM等で活動。 絵描き・クリエイターとしては、 個人や企業・行政から依頼多数。 横浜の商業施設でのグッズ販売に、 ZeppTokyoで開催されたファッションイベントでは 自身作成のロゴがメイン採用。 2019年には、 地元新発田市の図書館で個展も開催。 また、2018年からは 新発田市と共同でプロモーションムービーを制作。 2021年に高校生とともに企画・制作したCMは 「新潟ふるさとCM大賞」で準グランプリを獲得。 その他にも、 舞台やコントライブの脚本や、 人気バンドユニットの小道具制作など 幅広くクリエイター活動を展開。 将来の夢は、 「新発田で映画を撮る」こと。 そして、全国の人に 「新発田」を「しばた」と 読んでもらえるようになること。

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