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ビルの爆破解体



その後、完全ヤンキーさんから
ヒノ君に連絡を入れてもらったが・・


結局、稽古の開始時間までに
ヒノ君から返信が来ることはなかった。



すると・・



「ズシン、ズシン、ズシン・・・」



スタジオに続く階段を下りる

大きく鈍い足音が聞こえてきた。



え、演出家だ・・



スタジオ中に緊張が走る。



それは、主役の方も含め
メインキャストの人もみな


一瞬にして、
背筋がピンとするのを確認できた。



ただ僕は・・・



ここまでの数日間に比べて、
“多少気楽な”気持ちで、


演出家を、
出迎えることとなった。




それは何故か?・・・




なぜなら、
僕に与えられえた配役が


遺族C



だったからだ。




僕が一番恐れていた、
あの“容疑者8人”の中に


組み込まれるという
最悪の事態を回避できただけでなく・・・



遺族Cは、台本に
セリフが“一切ない”役なので、


作品においても稽古においても
僕がプレッシャーを感じることになる要素は・・


大きく“激減”する
ことになったのだからだ。



演出家は
スタジオに下りてくると、



ジロリと周りを見渡す。



すると・・



演出家
おや?今日は、参加者が少なめだね。



ストレッチレディ
ハイ、容疑者役の4人をはじめ、別の現場と被って欠席する方が、本日は多めになります



演出家
「ほう、なるほどね・・・」




おや?


演出家の顔色が、
一瞬曇ってみえた。



まぁ、そりゃ、そうだろう。



この少なめの人数では、
稽古できるシーンも限られてしまうからだ。



そうなると・・・



もしかしたら
時間を余すことになり、


稽古が早めに終わる
可能性もありえるよね・・!?




そうしたら・・・



久しぶりにゆっくり過ごす
時間が出来るかもしれない・・・!!





僕は再び、
心の中で歓喜した・・!



最近は、バイト漬けの毎日から
急転直下の3日連続“最終オーディション”。


さらに、

まさかの合格を言い渡され
翌日から稽古に即合流・・


そして、


これから2週間は
休みなく毎日稽古がとり行われ・・


舞台本番は、5日間。

毎日、昼・夜の2公演。


これまでも、

これからも・・・


心も身体も休める時間を
全く取ることが出来ないのだ。



だとしたら、


今日が唯一の“休める”
チャンスになるであろう日・・!!



僕は、

ここ数日間ネガティブに
陥りがちだった思考回路を


ポジティブな方向に
転換することが出来た。



すると・・



演出家は・・




ニヤリと笑いだした。




「・・・え?」



その瞬間、

言い表せないほどの“嫌な予感”
僕の全身を瞬く間に駆け抜ける。



演出家
今日って、オーディション組は4人いるんだよな?


ストレッチレディ
ハイ、その通りです




お、おいおい・・・・



演出家
そして、容疑者役は、今日4人欠席なんだよね?


ストレッチレディ
ハイ、その通りです




いや、待てよ・・・



演出家
じゃあ、オーディション組の4人に、“代役”で稽古に参加させて




それって・・



ストレッチレディ
ハイ。という訳で、オーディション組のみなさん。
今日の稽古は容疑者役の“代役”に入ってください





なんでやね~ん






毎度、毎度

僕の立てる目論見は




演出家を前にすると、
“ビルの爆破解体”のように



綺麗に崩壊してしまうのだ。






つづく・・




P.S.

いやぁ~稽古2日目の衝撃の展開と言ったら、いまだに覚えています・・・まさか、役者経験2日目のド素人が、メインの容疑者役の代役として、稽古に参加させられることになるんですもん。汗
前日に見た衝撃の光景を、この日僕もやらされると確定した瞬間は、鳥肌どころか、目の前が一瞬真っ白になりましたね。気絶するかと思いました。笑

次回!!!


急遽「容疑者」の代役として、稽古に参加することとなった、カサハラ青年withオーディションメンバー。他の3人はまだしも、僕は完全ド素人。その恐怖と言ったら、他に言い表せないほどのものだった。そして、もちろん稽古の最初は「いつもの」真っ暗闇のシーンから。目にはアイマスク、両手には手錠を掛けられたカサハラ青年は、この状況が嘘か真か区別がつかなくなるのであった・・・



お楽しみに~!


カサハラケント


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カサハラケント
カサハラケント (笠原賢人) 1988年5月17日生まれ 新潟県新発田市(旧紫雲寺町)出身 2011年、大学を卒業後、 役者・絵描き・クリエイター活動を開始。 役者としては、 主に舞台(40本以上)やCM等で活動。 絵描き・クリエイターとしては、 個人や企業・行政から依頼多数。 横浜の商業施設でのグッズ販売に、 ZeppTokyoで開催されたファッションイベントでは 自身作成のロゴがメイン採用。 2019年には、 地元新発田市の図書館で個展も開催。 また、2018年からは 新発田市と共同でプロモーションムービーを制作。 2021年に高校生とともに企画・制作したCMは 「新潟ふるさとCM大賞」で準グランプリを獲得。 その他にも、 舞台やコントライブの脚本や、 人気バンドユニットの小道具制作など 幅広くクリエイター活動を展開。 将来の夢は、 「新発田で映画を撮る」こと。 そして、全国の人に 「新発田」を「しばた」と 読んでもらえるようになること。

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