第6弾「甘くも辛くも、おおらかに」|【R20ここだけの話】気になる日本酒、語らせて
【R20ここだけの話】~気になる日本酒、語らせて~
2022.11.06
知る人ぞ知る新潟の銘酒について、日本酒翻訳家が独断で選び、酒蔵の方を巻き込んで語るコーナー。
醸造の町 “ 摂田屋” で作られてきた「雪紅梅」。私にとってターニングポイントになったお酒です。
突然ですが、懺悔(ざんげ)します。
一度、日本酒に対して距離をとった時期がありました。
※これは10年前の東京で言われた言葉です。
「新潟の酒ってさー、水みたいなんだよねー」
大衆居酒屋で料理酒のようなものを燗にしてすする。
当時はお財布事情もあり、そんな飲み方をしていました。
「清酒」を飲んでいなかった後ろめたさから
「そんなことないですよ」と反論できず、
「うーん、端麗辛口とは言いますけど、そうなんですかねー」
としか濁せず、悔しい思いをしました。
申し訳なさ過ぎて、「日本酒好き」を封印しました。
数年後、また「日本酒好き」を公言できるようなきっかけに恵まれました。
当時の職場の先輩から
「そういえば、ぬるちゃん長岡だったよね。」
(県外の方には「長岡あたりの出身」と言っています)
「このお酒飲んだことある?」
と差し出されたのが、「雪紅梅」の辛口でした。
「いとこから新潟に出張したお土産でもらったんだけど、『“雪中梅”と間違えた』ってくれたんだ」
ひどい。
私でよければ、飲ませてください!
辛口の日本酒。
けど、大衆居酒屋で出されたツーンとした刺々しさはなくて、
ゆったりとした、柔らかいコメの香り。 とまろやかな辛口。
美味しくて、出た言葉が、
「ごめんなさい」
でした。
それ以降、雪紅梅探しても、なかなか見つけられなかったのですが、
思わぬところで再会します。
地酒防衛軍こと、吉川酒店さん!!
皆さま、言霊って信じますか?
私は文芸部の友人から「温ちゃんの『温』って、ぬる燗の『ぬる』なんだね。明日から『ぬるこ』って呼ぶね!」
と言われ、(20歳超えてから)日本酒が好きになり、好きが高じて、気づいたら商社で日本酒の翻訳を担当していました。
新潟の日本酒について語り、皆さまに「このお酒飲んでみたい」と思われるような記事をお届けします。