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ヒノ君からの返答



完全ヤンキー
すげえな。


カサハラ
「え?」



完全ヤンキー
俺、今まで芝居の稽古やレッスンで今みたいな演技指導されたの初めてや・・・



カサハラ
「そうなんですね・・!」



完全ヤンキー
もう、これまでの考え方を180度変えさせられたで、ホンマ



完全ヤンキーの表情は、
とても輝いて見えた。


いや、完全ヤンキーだけではない、

他のオーディション組も
演出家からの言葉を受けて、

みな目が輝いている。


あの怒涛の”3日間のオーディション”を
勝ち抜けてきた百戦錬磨の猛者たちにとっても・・・


新しい発見となったのだ。


カサハラ
「(凄すぎる・・僕は本当に凄すぎる体験を今させてもらっているんだ・・!)」



すると・・


完全ヤンキー
あ~~・・あれは、そういうことやったんや・・



完全ヤンキーが何かに気づいた。



カサハラ
「何ですか?」



完全ヤンキー
”冒頭のト書き”のシーンやる前に、必ず演出家が、その場の状況を説明するやろ?薬で眠らされて・・ナニナニ~って。



カサハラ
「してますね」



完全ヤンキー
きっとあれも、役者たちの気持ちを一度リセットさせるためのスイッチ代わりになってるのかもしれへんな・・



カサハラ
「え?」



完全ヤンキー
その場の状況を改めて役者たちにイメージさせて、その環境に溶け込ませるための”おまじない”みたいなもんやな



カサハラ
「な、なるほど・・」



演出家の真意は分からないが、
この完全ヤンキーの”観察眼”と”想像力”も


あの3日間を潜り抜けてきただけあり、
やはり只者ではないのかも?・・・と思った。



完全ヤンキー
あ、そや!ヒノ君から返信きてへんかな?



カサハラ
「あ、来てるかもしれないですね!」




完全ヤンキーはカバンの中に
しまっていたスマホを取り出して

受信メールを確認した。


すると・・

完全ヤンキー
お!来てるで!・・・えーっとな・・



カサハラ
「やっぱりあれですか?ヒノ君も売れっ子で、他の現場に行ってるとかですかね?」



完全ヤンキー
「・・・・ヒノ君。








この舞台、”降板”するって。」



カサハラ
「・・・・え!?降板!?」





つづく・・・

P.S.

いやぁ~、書いてて改めて役者(演技)って難しくて、奥深くて、面白いってことを感じますね(笑)
表現しないこと、という演出家からの教えもそうですが、僕的には「お客さんは、観覧者ではない、目撃者だ」という言葉が今も印象に残っていますね・・!

この言葉の意味に「お客さんに、監視カメラやのぞき穴から、その役の人生を”目撃している感覚にさせること”が、演技の本質である、分かりやすいように演技したり表現することは、お客さんに対して失礼、馬鹿にしている行為である」というように演出家が話していて、演技の面白さとともに、その探求は本当に果てのない世界なのだなと、失神しそうになりました(笑)


次回!!!

”演技の本質”について演出家から教えてもらったカサハラ青年。その難しさに拍車をかけるように、次は「セリフあり」のシーンの代役を務めることとなる。初めて台本を持ってセリフを話す稽古をするカサハラ青年であったが、そこでまた思いもよらない”言葉”を演出家から投げかけられたのだった・・・そして、”降板宣言”のヒノ君は一体どうなるのか・・


お楽しみに~!!



カサハラケント


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カサハラケント
カサハラケント (笠原賢人) 1988年5月17日生まれ 新潟県新発田市(旧紫雲寺町)出身 2011年、大学を卒業後、 役者・絵描き・クリエイター活動を開始。 役者としては、 主に舞台(40本以上)やCM等で活動。 絵描き・クリエイターとしては、 個人や企業・行政から依頼多数。 横浜の商業施設でのグッズ販売に、 ZeppTokyoで開催されたファッションイベントでは 自身作成のロゴがメイン採用。 2019年には、 地元新発田市の図書館で個展も開催。 また、2018年からは 新発田市と共同でプロモーションムービーを制作。 2021年に高校生とともに企画・制作したCMは 「新潟ふるさとCM大賞」で準グランプリを獲得。 その他にも、 舞台やコントライブの脚本や、 人気バンドユニットの小道具制作など 幅広くクリエイター活動を展開。 将来の夢は、 「新発田で映画を撮る」こと。 そして、全国の人に 「新発田」を「しばた」と 読んでもらえるようになること。