遂に、役者人生初めての
”稽古”に参加するカサハラ青年。
振り分けられた配役が”遺族C”という
アンサンブル(エキストラ的な感じ)だったため
「セリフもないし、稽古もそこまで大変じゃないだろう」
などという軽い気持ちでいたのだが、
急遽”容疑者役”の代役として
稽古にガッツリ参加することに・・・
人生初めての舞台稽古で、
メインの容疑者8人の代役という・・・
これまでかつてないほどの
急展開と極限プレッシャーの中ではあったが・・
なんとか、なんとか、
やり過ごすことができたカサハラ青年。
だったのだが・・・
稽古後の完全ヤンキーからの
”飲み”の誘いを断ることが出来ず・・・
最寄り駅までの終電を逃してしまう事態に・・
「少しでも家に近い駅へ向かって、そこから歩いて帰ろう」
そう試みたカサハラ青年であったが、
終着駅から自宅までの距離は13キロ、
時間にしておよそ3時間弱。
過酷な状況に陥りながらも、
カサハラ青年は台本を読みながら
歩いて帰ろうと決心したのであった。
「よし、歩こう・・!!」
右手に台本、
左手にスマホを持ち・・・
僕は、13キロ、およそ3時間弱と言う
とてつもなく長い「帰り道」の第一歩を踏み出した。
序盤はまさに、
快調そのものだった。
台本をスマホの明かりで照らしながら、
MAPアプリを駆使し・・・
台本を読み込みながらも、
”最短距離”で自宅へ
帰るルートをしっかりと歩んでゆく。
“最短距離”ということで、
大通りだけを進んでは
“遠回り”になってしまうようなので
途中、路地や住宅街の中を
歩いてゆく経路で帰り道が設定された。
真夜中で人通りが
全くないとは言えども・・
ずっと台本ばかりに目を落としながら
歩くのはやはり危険なので
できるだけ台本とスマホを
目線の高さまで持ち上げて、
間接視野で道の先を確認しながら、
安全第一で歩んでゆく。
「よしよし・・・これは台本を読み込むのに、かなり集中できる環境かもしれない・・」
僕は台本を読んでいると、
高校時代の出来事がふと頭の中をよぎった。