最終稽古から数日後・・・
東京都内のとある小学校で
”プレ公演”が行わることとなった。
これは・・
全国回りを控える前に行われる
最終確認のステージ。
とは言っても・・・
実際に”小学生”の前で
披露する初めての公演であり・・
小学生たちも、おそらく
初めて生で見る”お芝居”に
心をワクワクさせているに違いない。
最終確認の為のステージとは言えど・・・・
一切、手を抜くことなど許されない、ミスも許されない。
なぜなら・・
この1回の公演が
子どもたちに与える影響は・・
計り知れないくらいに
”大きい”ものになるからだ。
もしかしたら
この1回の公演で・・・
お芝居の魅力に気づく
子どもたちが現れるかもしれない。
しかし、逆に・・・
「なんだ、つまんないな。お芝居ってこんなもんか〜」
と興味を失う子どもも、現れるかもしれない。
そのくらい”大きな責任”を
背負わなければならない。
しかし・・・
そんな中で
”主人公”をつとめる僕自身が
こんなに”不安定な状態”のまま
ステージに立って良いのだろうか・・
考えれば考えるほど
僕は沼に沈んでいくのだった。
その後・・・
結局、その日のプレ公演は、
特に問題も発生せず・・
”無事”に終演することとなった。
初めて”沢山の子ども達の前”での披露で
僕自身も開演前はかなり緊張したけれど、
個人的にも特にミスなく
何とかやり遂げることができた。
公演後は、お芝居を見てくれた
子ども達が目を輝かせながら
「あの時のあれは、あれで〜〜」
「これは、これで〜」
と、友達どうし
劇の話で花を咲かせている。
そんな様子を・・・
劇中のセットを解体しながら
僕は横目で見ていた。
そして・・・
僕は、少しホッとした気持ちになった。
「(きっと、僕の考え過ぎだったんだ・・・)」
結局は・・・
相手が”どう感じる”か・・
相手に”どう見えているか”なのだ。
僕自身の
”気の持ちよう”などということは・・・
演技には
”一切関係のないこと”なのだ。
きっと、それが・・・
”表現演技”
というものなのだ。
それを
この日のプレ公演を通して・・・
僕は気づくことができたのだな、
と思った。
そして、ついに翌週から・・
全国を旅回りする1年間がスタートする。
1校目の
岡山県総社市の小学校を皮切りに・・・
たまに、自宅に戻れる期間もあるけれど、
基本的には旅劇団のマイクロバスで全国を回り続けることになる。
そして・・・
本当の意味で”表現演技”
というものを僕が理解するのは・・・
まだまだ先のことだった。
いやぁ〜、”表現演技”ってのも本当に難しいもので・・・”リアル”への追究の大変さと比べて、なんとなく甘い気持ちを持ってしまっていたのですが、すべて僕の間違いだったのです。汗
今回は、それまでの心情の移り変わりがメインのお話になりましたね。。
次回!!
”きっとこんな感じなんだろう”と表現演技を勘違いしながら、旅劇団での全国回りがスタートしてしまったカサハラ青年。果たして、その先に待ち受けているものは一体・・・
お楽しみに〜!
カサハラケント
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