『今日から、君の職業は、正式に”役者”だよ』
そう言われた、あの日から・・・
あの”只者ではない演出家”は、
カサハラ青年にとって”社長”となった。
そう、ついにカサハラ青年は念願の
”芸能事務所”に所属することが出来たのだ。
その後、
”プロフィール用”の写真を撮影し、
事務所からも色々な
オーディションにプロフィールを送ってもらい、
”人生初めての撮影”も無事に終了。
そして、幼馴染の役者
”タカモン”からも素晴らしい刺激を受けることができた。
するとそんなさなか・・
事務所の社長から役者としての幅を広げるよう、
”リアル演技”と対極にある”究極の表現演技”を身に着けるため、
日本中の小学校を旅回りする劇団の
オーディションに挑戦し、
見事に?主役の座を勝ち取ったのだった。
強爺
「ふん、今時だな」
カサハラ
「すみません・・」
強爺
「まぁ、その心意気だけは評価してやろう」
カサハラ
「え?・・・あ、ありがとうございます」
3日前の”稽古初日”。
不本意ながら遅れて参加した僕に対して、
かなり”キツめ”に当たってきた強爺からの意外な反応に・・・
僕は少し戸惑った。
「(強爺・・・、思ったよりも、怖くないかもしれないな・・)」
まぁ、考えてみればそうかもしれない。
自分が演出する稽古の初日に”主人公”役の若造が
なんの連絡もなしに遅刻してきたら・・・
そりゃあ不機嫌になるだろう。
(※一応、団長さんには連絡してあったのだが・・)
スラ男
「では時間になりましたので、稽古を開始したいと思います」
スラ男さんの進行で、
この日から”本格的”な稽古が開始となった。
スラ男
「では、まずは台本読みから行います。ト書きは私が読みますので、みなさんは自分の役のセリフを読んでください」
キャスト
「はい!」
演出の強爺を中心に
僕らキャストは円になって座って・・
早速”台本読み”のスタート。
僕は、冒頭シーンから最後まで
”出ずっぱり”となるので、ほぼほぼセリフをしゃべりっぱなしとなる。
「(ふぅ・・緊張するな・・)」
3日前の稽古初日の台本読みでは・・
セリフがたどたどしくなったり、
つっかえたり、噛んだりと、散々だった。
「(この間は、バタバタした中での台本読みで散々だったけど・・今日はしっかりと読んでみせるぞ・・!)」
そして・・・
冒頭のト書きをスラ男さんが読み終わった後
早速”主人公”のセリフがやってきた。
カサハラ
「(セリフ)うわ〜!なんだここはぁ〜!!」
強爺
「ストップ!止めます!」
カサハラ
「え?!」