それから・・
旅劇団の稽古が進んでいくうちに・・・
歌唱シーンや、ダンスシーンの稽古も
少しずつ身体が慣れてきて、
自分が思っていた以上に
早く飲み込むことができた。
稽古時間外にも、録音した音源や
ダンスの動画などを見返して・・
そして
稽古のウォーミングアップ中にも、
それらを反復練習し・・
個人的にも充実した気持ちで
取り組むことができた。
しかし・・
それとは相反するように
”表現演技”というものは・・・
まったく答えが見えてこなかった。
強爺の厳しい芝居稽古を重ねるうちに
セリフや舞台上での動き方なども、
自然と体に染み付いていく感覚はあったけれど・・
どこか、心と体が
解離している状態が続いたままだった。
「(なんなんだろう、この違和感は・・・)」
その感覚は・・・
結局すべての”稽古日程が終了”するまで
一度も拭えることはなかったのである。