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はい、それ以外ありません。



そして、攻守交替。


今度は僕が、
ヒノ君を評価する番。


「はい、じゃあ演技スタート。パン!」


演出家の合図とともに、
ヒノ君は“僕の演技”を開始する。


すると・・


「・・うそでしょ?」


ヒノ君は、

「体育座りをして目をつぶって、集中している様子の演技」

をしている。



これって・・・



そう。

これは、先ほど僕が演じた内容と
「全く同じ」ものだったのだ。



さっき僕は

「下手にヒノ君に似せるようなことはせず、
敢えて”自分に置き換えて”」
演技をしたのだが・・


それと“同じ演技”を
しているということは・・・



ヒノ君は、僕の性格や特徴をちゃんと捉えて、
完璧に「カサハラケント」という人物を演じているのだ。



僕はそれを見て、愕然とした。


そして、不意に・・・・


感動してしまった。



これが“本物の役者”なんだな・・



演技と言うものは、
本当に奥が深く、本当に面白い。



しかし、この世界でやっていける
”僕の姿”は全く想像ができない。


そして、自信もない。


自信がないから、

他の方法で何とかならないかと、
余計なことばかり考えてしまう。


違うんだ。そうじゃないんだ。


もっと真摯になるべきだったんだ。
自分に言い訳ばかりして、
そんな生き方をして。


同い年くらいのヒノ君との
歴然とした違いを見せつけられて・・



僕は、潔く諦めがついた。



「パン!はい、終了」



演出家から演技の終了を
告げる号令がかかった。


まずは、
もう一組の方から評価が発表される。

やはりそれは
「高評価」なものだ。


そして・・


演出家
じゃあ君、評価を発表して




「はい・・」



いろんな思いがこみ上げてきたが・・
僕はそれをグッと飲み込んだ。



「悔しいですけど、完璧でした。」



演出家
へぇ~、そう。




「はい、それ以外ありません。」





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カサハラケント
カサハラケント (笠原賢人) 1988年5月17日生まれ 新潟県新発田市(旧紫雲寺町)出身 2011年、大学を卒業後、 役者・絵描き・クリエイター活動を開始。 役者としては、 主に舞台(40本以上)やCM等で活動。 絵描き・クリエイターとしては、 個人や企業・行政から依頼多数。 横浜の商業施設でのグッズ販売に、 ZeppTokyoで開催されたファッションイベントでは 自身作成のロゴがメイン採用。 2019年には、 地元新発田市の図書館で個展も開催。 また、2018年からは 新発田市と共同でプロモーションムービーを制作。 2021年に高校生とともに企画・制作したCMは 「新潟ふるさとCM大賞」で準グランプリを獲得。 その他にも、 舞台やコントライブの脚本や、 人気バンドユニットの小道具制作など 幅広くクリエイター活動を展開。 将来の夢は、 「新発田で映画を撮る」こと。 そして、全国の人に 「新発田」を「しばた」と 読んでもらえるようになること。

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