完全ヤンキー
「嬉しかった?・・・ほう~」
カサハラ
「そうですね、なんて言うか・・稽古中は”神谷椎太郎”として、その場に立っているつもりでも、何かずっとしっくりこなくて、ずっと、フワフワ浮いている状態だったんですけど・・・」
完全ヤンキー
「ふむふむ~」
カサハラ
「場当たり中、みんな本気でお芝居してなかったとはいえ・・初めてお芝居中にステージ上のみんなと目が合って・・・なんか初めて”神谷椎太郎”の存在を認識してもらえたというか・・その感覚が、とても嬉しかったです・・」
完全ヤンキー
「ほう、なるほどな~・・・それが、きっとケントの”正解”や」
カサハラ
「え?・・・僕の“正解”?」
完全ヤンキー
「せや~。そして、それこそが・・・芝居における一番大事な要素、”コミュニケーション”やな」
カサハラ
「これが・・コミュニケーション?」
完全ヤンキー
「せや。目と目が合う、それって普段の“コミュニケーション”の中でも一番大事なことやろ?それを、ケントは芝居中に自分で気づくことができたんや~」
カサハラ
「な、なるほど・・・」
完全ヤンキー
「まぁ、俺ら”遺族たち”って難しいもんでな~、もともとセリフもない役やし、アンサンブル(エキストラ)やから、芝居中に他の役とコミュニケーション取るのって、なかなか難易度高かったんや」
カサハラ
「あー、確かに・・」
完全ヤンキー
「せやから、演技経験ある俺や、他のオーディション組の子も、今回、どうやって芝居中にその”コミュニケーション”を取るかってのが、大きな悩みやったと思うねん」
カサハラ
「はいはい・・」
完全ヤンキー
「で、ずっと、どないしよ~って状態のまま、稽古期間も終盤に差し掛かったところで、あの“絶好の機会”訪れたんや」
カサハラ
「・・・あ、演出家から与えられた”自由にセリフをしゃべっていい”ってチャンスですね!」
完全ヤンキー
「そや~!」