『今日から、君の職業は、正式に”役者”だよ』
そう言われた、あの日から・・・
あの”只者ではない演出家”は、
カサハラ青年にとって”社長”となった。
そう、ついにカサハラ青年は念願の
”芸能事務所”に所属することが出来たのだ。
その後、
”プロフィール用”の写真を撮影し、
事務所からも色々な
オーディションにプロフィールを送ってもらい、
”人生初めての撮影”も無事に終了。
そして、幼馴染の役者
”タカモン”からも素晴らしい刺激を受けることができた。
するとそんなさなか・・
事務所の社長から役者としての幅を広げるよう、
”リアル演技”と対極にある”究極の表現演技”を身に着けるため、
日本中の小学校を旅回りする劇団へ
入ることを勧められたのだった・・
「カサハラ君、これから1年間、全国を回って、小学生を相手に、”究極の表現演技”を身につけてきなさい」
社長から
そう言われた数週間後・・・
僕は都内の
”とあるスタジオ”に向かった。
スタジオと言ってもそこは想像以上に広く・・・
“小学校の体育館”に近いレベルのサイズだった。
この日、スタジオに向かったのは、
同じ事務所の先輩役者の男女1人ずつと、僕。
合わせて3人。
そして、その目的というのが・・
”旅劇団の所属を懸けたオーディション”
である。
所属を懸けた・・とは言っても
ずっと劇団にお世話になる訳ではなく
今回は”1年限定”のもの。
ちなみに旅劇団と言うのは
文字通り、全国を旅回りする劇団のこと。
毎年、冬になると
キャストの募集をかけてオーディションを行い・・
合格者は、劇団の正規メンバーと一緒に
春からの旅公演に向けてしっかりと稽古に打ち込む。
そして、4月になったら
”全国各地”でお芝居をして・・
1年間ぐるぐると
日本中を回り続けるというもの。
そして、今回
僕がオーディションを受ける劇団は・・
“全国の小学校”を回る旅劇団。
社長のいわれの通り
”究極の表現演技”を身に着けるべく・・
僕はこれから1年間
役者修行の道を進むことを決心したのだ。