<54> 第3章「職業：役者」～洗面所の鏡の前で自らの顔を、白く塗りたくったのであった～ | 新発田出身カサハラケントの 【コラムって何書けばいいんですか？】
遂に、役者人生初めての”稽古”に参加するカサハラ青年。紆余曲折ありながらも、何とか食らいついていき、自身の演じる役である”神谷椎太郎”のキャラクターをどんどん作り上げていく中・・本番まであと5日というところで、突然、演出家から「遺族たちにもセリフを与えよう」と切り出された。本来ならば喜ばしい展開のはずだが・・・お芝居ド素人のカサハラ青年にとっては、とてつもないプレッシャーとなり、結局、セリフを与えてもらえずに終わってしまった・・そして、フワフワとした、不完全なままの”神谷椎太郎”というキャラクターを引き下げ、ついに”小屋入り。そして、”場当たり”が行われているさなか、完全ヤンキーからとある”お題”を出され、さらにカサハラ青年は、頭を抱えるのであった・・
前回までのあらすじ
遂に、役者人生初めての
”稽古”に参加するカサハラ青年。
紆余曲折ありながらも
何とか食らいついていき・・
自身の演じる役である
”神谷椎太郎”のキャラクターを
どんどん作り上げていく中・・
本番まであと5日というところで
突然、演出家から
「遺族たちにもセリフを与えよう」
と切り出された。
本来ならば喜ばしい
展開のはずだが・・・
お芝居ド素人のカサハラ青年にとっては
とてつもないプレッシャーとなり
結局、セリフを与えて
もらえずに終わってしまった・・
そして、フワフワとした不完全なままの
”神谷椎太郎”というキャラクターを引き下げ
ついに”小屋入り。
そして、”場当たり”が行われているさなか
完全ヤンキーからとある”お題”を出され・・
さらにカサハラ青年は、頭を抱えるのであった・・
誘う口実
小屋入りの初日は
無事に終了した。
”無事”と言うのはあくまで
場当たり全体の進行が問題なく終わったことであり・・
僕自身は
全く無事には終わらなかった。
完全ヤンキーから出されたお題である
「大事なこと」が結局その日は分からずじまいだったからだ。
「（う～ん・・・場当たり中に気づけると完全ヤンキーさんは言ってたけど・・見学を続けたところで何も分からなかったな・・・もう、明後日には”本番”を迎えるし、１日でも、いや一秒でも早く、その大事なことが何か知りたい・・）」
ということで・・
考えることを放棄したつもりはないが・・
完全ヤンキーをご飯に誘いその答えを問い質すことにした。
「（そういえば昨日の最終稽古の後は結局ご飯行けなくて『明日いこな～』って完全ヤンキーさんからも言われてたんだ・・！それなら“誘う口実”としては問題ないだろう・・！）」
という訳で僕は帰り支度をすませて
劇場の外で完全ヤンキーを待つことにした。
すると・・・
完全ヤンキー
「お～ケント～！お疲れさん～」
完全ヤンキーが
小走りで劇場の外へ出てきた。
カサハラ
「これから少しご飯いきません？」
完全ヤンキー
「お、せやな～！昨日行かれへんかったし、少しだけいこか～」
カサハラ
「え？少しだけですか？珍しいですね・・いつも終電近くまで帰してくれないのに」
完全ヤンキー
「あれ？そやったか？まぁええ～ちゃちゃっといこで～」
で？
という訳で
僕は”無事”に完全ヤンキーをご飯に誘うことに成功し
劇場の近くの牛丼チェーンの扉を開けた。
販売機で食券を買って、いつものようにカウンター席に
僕が左、完全ヤンキーが右と言う位置で腰を掛けて・・
もしかしたら、このあと完全ヤンキーに予定があるのかもしれない
と思い、早速本題に差しかかった。
カサハラ
「率直に聞きたいのですが、場当たりの最中に言ってた”大事なこと”って何ですか？」
完全ヤンキー
「いや、率直過ぎるやろ～！」
カサハラ
「あまり時間がなさそうだったので、手短に聞けたらと・・・」
完全ヤンキー
「あぁ、気ぃ使ってくれたんか(笑)・・そやな～あの後、みんなの場当たり見ててどうやった？」
カサハラ
「どうって・・・やっぱり素直に、凄いなぁって思いました。完全ヤンキーさんが”劇場でやるお芝居”は見方が変わるって言ってましたけど、改めて稽古場で見てたお芝居と、実際に劇場で見るお芝居じゃ、全くの別物になるんだなって思いましたね」
完全ヤンキー
「せやろ～！じゃあ、実際にみんなの“演技自体”はどうやった？稽古場と劇場で何か変わったりした部分はあったか？」
カサハラ
「そうですね・・最初はいつも以上の迫力に感じたので、みんなやっぱりテンション上がってるんだなって思ったんですけど・・・完全ヤンキーさんが指摘してくれた通り、テンションが上がってたのは僕の方で、みんなはいつも通り・・いや、場当たりなので少しいつもより冷静に演技しているってのが、後から感じれるようになりました」
完全ヤンキー
「せやせや～！その”見方・感じ方”は役者としてめっちゃ重要やから、忘れないようにした方がええで～」
カサハラ
「そうなんですね・・・ありがとうございます。・・・で？」
完全ヤンキー
「で？」
カサハラ
「いや、だから”お題の答え”を教えてほしくて・・・」
カサハラケント (笠原賢人)
1988年5月17日生まれ
新潟県新発田市（旧紫雲寺町）出身
2011年、大学を卒業後、
役者・絵描き・クリエイター活動を開始。
役者としては、
主に舞台(40本以上)やCM等で活動。
絵描き・クリエイターとしては、
個人や企業・行政から依頼多数。
横浜の商業施設でのグッズ販売に、
ZeppTokyoで開催されたファッションイベントでは
自身作成のロゴがメイン採用。
2019年には、
地元新発田市の図書館で個展も開催。
また、2018年からは
新発田市と共同でプロモーションムービーを制作。
2021年に高校生とともに企画・制作したCMは
「新潟ふるさとCM大賞」で準グランプリを獲得。
その他にも、
舞台やコントライブの脚本や、
人気バンドユニットの小道具制作など
幅広くクリエイター活動を展開。
将来の夢は、
「新発田で映画を撮る」こと。
そして、全国の人に
「新発田」を「しばた」と
読んでもらえるようになること。
