演出家
「では、容疑者8人が議論を交わす中、突然遺族たちが室内に入ってきます・・・パァン!」
演出家の合図とともに
遺族たちのシーンがスタートした。
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演出家
「パァン!はい、一旦休憩にします。では、10分後、再度今のシーンを行います」
そういうと演出家は
毎度のごとくスタジオの外へと消えていった。
”自由にセリフを話して”
と言われた
僕ら遺族たちであったが・・
結局誰も
「セリフを話す」ことはできなかった。
カサハラ
「む、難しすぎるだろ・・・」
完全ヤンキー
「これは、大変なことになってもうたな~」
カサハラ
「ですね・・もう、どうやっていいか、わかりません」
完全ヤンキー
「俺も、決まったセリフを貰えるもんかと思ったら、まさか、自分で考えるなんてな・・まぁ、演出家からしたら、考えるんじゃなくて、その場でリアルに存在して“自然に出てくる言葉”を求めてるってことなんやろうけど~」
カサハラ
「そういうことですよね・・でも、いくら役としてその場に存在しようと思っても何か”セリフ”を話そうことを意識しちゃったら、全然集中できませんでした・・」
完全ヤンキー
「そうなってしまうよな~。まぁ、とりあえず、休憩後の稽古でいろいろ試してみないとやな~」
カサハラ
「そうですね・・とりあえず、何もやらないことには始まりませんからね・・・」