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とりあえず・・




『やばい・・このままじゃ、
マジでやばい・・・』




Nさんの想いを、またしても
裏切った形になったことへの申し訳なさと



「何もないまま」フリータとして
すでに数ヵ月経過してしまっている焦りの中



僕は、Nさんからもらった
“最新号のオーディション雑誌”の中から


「年齢」、「性別」、
「その他の条件」を照らし合わせて


気が狂ったように


”応募資格”のあるオーディションを
片っ端からエントリーし始めた。





「もう、何でもいい・・・!
このままじゃ終われないから!!」





僕は心の中の炎は
まだ消えていない。


いや・・・


消えてしまわないように
今は何でもいいから、



とりあえず
「動く」しかないのだ。





なんとなく
「残された時間はもう長くない」


そう感じていた。


僕の夢もここで
終わりを迎えるかもしれない。


でも、終わってしまうとしても
最後は悔いのないように終わりたい。


今できることを。

何でもいいからできることを。



何が、何でも



僕が、気が狂ったように
オーディション雑誌からエントリーしたジャンルは・・


音楽関係や、モデル関係に

タレント募集に、自主映画のキャスト募集、などなど・・

まさに、多岐に渡るものだった。


とりあえず
“条件”に合えばなんでもいい。



今の状況を
何として打破しなければ。



封筒と切手を
大量に買ってきて、

エントリーシートを
一気に書いては郵送・・


バイトの休憩中は、
スマホを使って

Webで募集している
オーディションに、とにかくエントリー。


さらに、オーディション雑誌の
有料サイトにも登録し、


新規のオーディションが
掲載されるたびに・・・



エントリー、

エントリー、

エントリー・・・




もう、可能な限りのエントリーを繰り返し、
応募した数は、気が付けば“30”個以上・・・



「とりあえず、何でもいい・・
何でもいいから、何かしら引っかかってくれ・・・」







どんな報告になってもいい。


待っているNさんの期待に少しでも添えるように・・

そして、夢を終わらせないために・・

僕は今できることに、必死になった。




そんな不安と焦りに満ちた
真っ暗な日々を過ごしていた、ある日・・




僕のスマホに、
一通のメールが届いた。









『カサハラケント様。
おめでとうございます!

【舞台「〇〇〇」】
キャストオーディション・・

書類審査通過です!

つきましては、
●月●日に
2次審査に都内・・・・』












よ、よっしゃ!!!



なんと・・

舞台のオーディションが
“書類審査を通過した”との一報。




舞台のオーディションに
応募していたこと自体、全く覚えていなかったけど・・



辺り一面暗闇の中
この日ついに・・

僅かな希望の光が差し込んできたのだ。



よし、まだいける。


まだ、終わらない。



いや・・


終わらせてたまるか!






この「舞台」のオーディションに・・・

俺の夢をかける!















この


「舞台」という
まだ見ぬ世界からの



一通の報せ。



これがまさか本当に・・



この先の
僕の「運命」を決定づける


神様からの
“お告げ”だったとは・・




この時の僕は、
知る由もなかった。




つづく・・・


P.S.

エントリーシートの提出を忘れた時は、本当に焦りました・・;^_^
手汗と震えが止まらなかったのを今でも覚えています(笑)

そのあと、条件を満たすオーディションに本当に片っ端からエントリーしていったのですが・・・・あれだけの数を応募して、書類通過したのは、この「舞台のオーディション」だけだったという・・・・今、思い返いしても、あの頃は一番ギリギリでした。汗



次回!

もう後がない状況に追い込まれたカサハラ青年は「これは背水の陣だ」と心に決めて舞台のオーディションに向かう。会場の前につくと、そこには建物に入りきらないほどの行列が・・・受付で名前を伝えるとエントリー番号は「76番」とのこと。「ということは、最低でも76人以上はいるんですね・・・」と唖然としていると、「いいえ、数日に分けて開催しているので、2次審査は300人以上はいますね。」なんやて!?いやもうむりやん!めっちゃ人数おるやん!それに、舞台って、めちゃくちゃ演技力必要なヤツやん!と、終戦モードが漂う中、カサハラ青年は丸腰のまま、”最後の聖戦”へと繰り出すしかなかったのだ。


お楽しみに~!


カサハラケント


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カサハラケント
カサハラケント (笠原賢人) 1988年5月17日生まれ 新潟県新発田市(旧紫雲寺町)出身 2011年、大学を卒業後、 役者・絵描き・クリエイター活動を開始。 役者としては、 主に舞台(40本以上)やCM等で活動。 絵描き・クリエイターとしては、 個人や企業・行政から依頼多数。 横浜の商業施設でのグッズ販売に、 ZeppTokyoで開催されたファッションイベントでは 自身作成のロゴがメイン採用。 2019年には、 地元新発田市の図書館で個展も開催。 また、2018年からは 新発田市と共同でプロモーションムービーを制作。 2021年に高校生とともに企画・制作したCMは 「新潟ふるさとCM大賞」で準グランプリを獲得。 その他にも、 舞台やコントライブの脚本や、 人気バンドユニットの小道具制作など 幅広くクリエイター活動を展開。 将来の夢は、 「新発田で映画を撮る」こと。 そして、全国の人に 「新発田」を「しばた」と 読んでもらえるようになること。

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