舞台監督
「はい、ありがとうございます!では、ステージ上のみなさんは何か危険な部分とかはありましたか?」
続いて舞台監督は
容疑者役8人に確認を取った。
「(今見た限りだと、特に誰も怪我をしている様子もないし・・場当たり中も異変があるようには感じられなかったから大丈夫だと思うけど・・・)」
”場当たり”とは、
いわゆる確認作業。
実際にステージ上でお芝居をしながら
何か不具合点や危険な場所などがないか
“チェック”することが目的である。
ここで優先されるのは
”確認作業”であるため、
場当たりでは特に
“お芝居のクオリティ”が求められることはないのだが・・
「(場当たり中に、あれだけ”本気”でお芝居をしてしまったら、暗闇の中で不具合点とかを確認する余裕なんてあったのかな・・?)」
と不安と思ってしまった。
が・・・
「すみません、ここに”ちっこう(蓄光テープ)”貼ってもらって良いですか?」
「椅子とテーブルのこの位置にも”ちっこう”お願いします」
「このセット、客席側に少し近すぎるので、もう少し後ろに下げた方が良いかもしれません」
と、容疑者役の8人は
どんどん舞台上の危険箇所を指摘し始めた。
「(な、なんてことだ・・あの熱量を保ちながら、みんなしっかりと”確認作業”をしていたのか!?)」
僕はその様子に驚きを隠せなかった。
舞台監督
「了解です!今からその箇所を修正していきます!」
そういうと舞台監督はステージに上がり
指摘された危険箇所を役者陣と確認しながら
ひとつずつ処理していった。