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プロフェッショナル



「(な、何だこれは・・!?)」


僕は何も見えないステージ上に目を向ける。


確かに何も見えない。


しかし、そこで行われている
お芝居の様子はハッキリとわかる。


「(こ、これは、いつもの稽古場でのお芝居と同じ空気感、同じ熱量だ・・!!)」


そう。

真っ暗闇の
本当に何も見えない中でも


容疑者役の8人の演技は
まさに稽古中のそれと同じもの。



いや、お芝居の場が
稽古場から劇場に移ったからなのか

その8人が醸し出す
お芝居の”圧”と言うモノは

今まで以上に感じることができる。


それは

ステージ上の確認作業である
”場当たり”とは、思えぬほどだ


「(す、すごい・・・やっぱり劇場に入ると、役者のみなさんは一段とテンションが上がってくるものなのか!?)」


何も見えない
ステージ上で繰り広げられる


その全てを巻き込むような
白熱した芝居の掛け合いに


僕は完全に
見惚れて”しまっていた。




そして・・・


容疑者役
「あった!」



容疑者役の1人が
そう声を出したのをきっかけに


パチン」という
スイッチを押す”効果音”が入り



スッとステージ上の照明が灯る


容疑者A
「こ、ここは一体・・・」








舞台監督
ハイ!ここでストップします!



舞台監督の声が
劇場内に再び響き渡った。



舞台監督
まず、音響さん、照明さん、”スイッチ”のタイミングは問題なさそうでしょうか?



音響さん・照明さん
大丈夫で~す



確かに問題なさそうであった。


というか・・

スイッチの押されるタイミングも
密室内が明るくなるタイミングもバッチリすぎて

本当に容疑者役の1人が自分で電気のスイッチを入れて
明かりが点いたものだと言われても何の違和感も抱かないほどだ。




「(さすが、プロフェッショナルだ・・・1回目でここまで絶妙に合わせてくるなんて・・)」


この現場は役者陣だけが
“プロフェッショナル”なのではない。


スタッフさん1人1人も間違いなく
その道の“プロフェッショナルの集団”なのだ


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カサハラケント
カサハラケント (笠原賢人) 1988年5月17日生まれ 新潟県新発田市(旧紫雲寺町)出身 2011年、大学を卒業後、 役者・絵描き・クリエイター活動を開始。 役者としては、 主に舞台(40本以上)やCM等で活動。 絵描き・クリエイターとしては、 個人や企業・行政から依頼多数。 横浜の商業施設でのグッズ販売に、 ZeppTokyoで開催されたファッションイベントでは 自身作成のロゴがメイン採用。 2019年には、 地元新発田市の図書館で個展も開催。 また、2018年からは 新発田市と共同でプロモーションムービーを制作。 2021年に高校生とともに企画・制作したCMは 「新潟ふるさとCM大賞」で準グランプリを獲得。 その他にも、 舞台やコントライブの脚本や、 人気バンドユニットの小道具制作など 幅広くクリエイター活動を展開。 将来の夢は、 「新発田で映画を撮る」こと。 そして、全国の人に 「新発田」を「しばた」と 読んでもらえるようになること。

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