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大地の芸術祭で活躍する染め物職人

コラム

2021.11.24

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【植物染め 浜五】2015年の「大地の芸術祭」で世界に向けて作品を発信して話題になった染め物職人・星名康弘さん。身近にある草花を使って落ち着きのある色彩の「染め物作り」が特徴。その仕事に迫ります。

大地の芸術祭で話題になった染め物の美しさ

落ち着きのあるナチュラルな色彩の染め物の数々。2015年に越後妻有で開催された「大地の芸術祭」で、こうした自然の草花を使って染めた作品が世界に向けて発信され話題を呼びました。やさしい色合いの染まり具合が素敵ですね。
染めたのは新潟市西蒲区越前浜の染物職人・星名康弘さん。20年ほど前に染物に魅せられて以来、自然の中で草花を拾い集めては染物の染料として使い数々の染め物を作ってきました。

美しい染め色の裏に隠された苦労の数々

星名さんの仕事は染料に使う植物集めから始まります。日頃から一見雑草のように見える植物を拾っては工房に並べています。植物によって出せる色が全然違うのだそう。
実際の染めの作業は早朝開始。なんと朝5時30分スタート!まずは釜への火入れをしています。取材に伺った日、星名さんは以前染めて納品した暖簾をガマズミという植物で染め直して赤みを入れる仕事をしていました。
火入れから1時間半経ってやっと染めの作業に入ります。この染め作業は長年向き合って来ている星名さんでも難しいそう。失敗したことも沢山あるそうです。

時間かけたらうまく行くというものではなく、経験と感覚で染めの回数や時間を調整しているのだとか。まさに職人技ですね!
染めたものを乾燥させる最後の工程。ここまで来ても気は抜けません。水分を含んでいる時には見えなかったシミが乾燥すると浮き出てくることもあったりと、乾ききるまでいつもドキドキするそうです。

染め物との出会い

今でこそ自然素材を使った染め物職人の仕事に熱中する星名さん。染め物職人になる前は染め物とは直接関係のない建築関係の会社で会社員をしていました。
その後、独立して古民家の補修などに携わっていたある日、草刈りや庭木剪定でとれた植物を近くにあった鍋に入れて煮てみたら、鮮やかな黄色になったのを目にしたそうです。

そこで星名さんはその時持っていた手ぬぐいも鍋に入れてみたら綺麗に染まり、もっと追求してみたくなったのが染め物への情熱の始まりでした。

完成した染め物が喜ばれる瞬間とこれから

取材に伺った日の朝にガマズミの枝を使って染めた暖簾を依頼主さんのもとに届けるところに同行させていただきました。今回の依頼主さんは15年以上前にギャラリーを通じて知り合い、家族ぐるみの付き合いを続けて来た弥彦村の女性です。
星名さんが早速染め上げたばかりの暖簾を披露すると...「きれいですよ。ありがとうございます」と依頼主も大満足!
染め上がった暖簾のやわらかな自然の赤色が内装にしっくりと馴染みます。

星名さんは一軒一軒さりげない彩りを届けるこの仕事が大好きだと言います。
「色を出す事そのもののやり甲斐はありますが、植物や人、ものと出会ったり関わることが多いところが、この仕事の好きなところです。これからも、こういうものを大事にし続けていけたらいいなと思っています」

今回の取材を通して星名さんのとても自然体で素敵な生き方に触れることができて幸せな気持ちになりました。星名さんのこれからのご活躍を応援しています!

取材先の情報

■取材先の名前
植物染め 浜五

■住所
〒953-0012
新潟市西蒲区越前浜5408-1

■電話番号
0256-70-2733

■営業日時
不定期

※各種情報は取材時のものです。最新の情報は公式サイトなどでご確認下さい。
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