そう、あれは高校2年のとき。
定期試験前日の、
放課後の教室での出来事。
試験勉強は”一夜漬け”
が、お決まりの僕は
案の定試験前日になると
死ぬほど焦っていた。
カサハラ
「マジでやべぇ・・!」
放課後の教室でクラスメイト数人と
僕は一緒に机にかじりつくように
翌日に控えた「保健体育」の
筆記試験の勉強をしていた。
すると・・・
クラス1の秀才である
”ピチャイ”と呼ばれる男が、
保健体育の教科書を手に取りながら、
教室中をうろうろと歩き回っていた。
ピチャイは教室の至る所を歩き続け
数十秒に一度は僕の視界に入ってきた。
カサハラ
「(ピチャイ・・自分は頭が良くて余裕なのは分かるが・・さすがにその行動は目障りすぎるぞ・・・)」
僕は我慢できずに
ピチャイに声をかけた。
カサハラ
「ピチャイ、何やってんの?近くをうろうろされると集中できないんだけど・・!」
ピチャイ
「あぁ、ごめんごめん!俺、歩きながら教科書読むのが一番頭に入るんだよ」
カサハラ
「なんだと!?そんなやり方で覚えられるものか・・!」
僕の中では、
試験勉強と言えば
どれだけ自分の手で
”書いた”かがとても重要。
テストに出そうな単語や言葉などは
ひたすらノートに”書いて”頭と体に染みこませる。
そうしないと
「ちゃんと覚えることが出来たか」
不安で、不安で、仕方ないのだ。
カサハラ
「そんな歩きながら読むだけで覚えられるものか・・!勝機アリ!明日の試験はクラス1の秀才“ピチャイ”を打ち負かしてやるぜ!」
そして、数日後
「保健体育」のテストが返却されると・・・
カサハラ
「・・・90点か。まぁあれだけ必死に書いて覚えたんだから、これくらい取れて当り前さ!ピチャイ、何点だった?」
ピチャイ
「100点」
カサハラ
「うそ~~~~~ん!」
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ピチャイよ。
君があの時言っていたこと。
今、やっと理解ができたよ。
「歩きながら読むと、めっちゃ頭に入るやん~~~!」