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最悪の事態



台本もおよそ半分まで読み進めた辺りで
帰路もちょうど半分くらいに差し掛かっていた。


とは言っても、

まだ6~7キロは残っている


「台本を読むのに集中できていたとはいえ・・・やはり稽古初日の疲労感の中、13キロ歩いて帰宅するのは、なかなかしんどいな・・・」


時計の針も気が付けば
“2時半”を回っていた。


「ここからが正念場だ。明日の稽古に向けてしっかり残り半分の台本を読み込んで、なるべく早く家に帰って体も休めよう・・!」


眠気にも襲われながら
僕は台本をスマホの明かりで照らし続け・・


時折MAPアプリで経路を確認しながら
着実に歩を進めていった。




そんな時だった。




プツッ


「え?」


急に照らしていた明かりが消え
台本のページが真っ暗になった。



げっ・・・・・スマホの電池切れた・・・


最悪の事態に陥ってしまった。



まだ帰路を半分近く残している状態で、
スマホの充電が切れてしまったのだ。




え、待って・・これじゃあスマホの明かりで台本を読むことはもちろんのこと・・・自宅までの帰り方も分からなくなってしまったぞ!!!


真夜中の2時半。

初めて通る道。


そして・・・


MAPアプリで
”最短距離”で帰る設定にしていたため・・


今歩いているのは狭い路地。

周りは完全な住宅街。




さ・・最悪だ。今ここがどこなのか全くわからない・・



辺りは街灯の明かり以外、真っ暗闇。


もちろん、
こんな時間に人など出歩いていない。


むしろ出歩いている人がいたら
逆に怖いくらいだ。



「と、とりあえず、場所がわかるところまで何とか出てみよう・・」



これ以上分からない道を進むのは危険と判断して
とりあえず僕は、来た道を戻りながら、


帰り道の道標となる
青い看板を探すため大通りに出るのを目指した。


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カサハラケント
カサハラケント (笠原賢人) 1988年5月17日生まれ 新潟県新発田市(旧紫雲寺町)出身 2011年、大学を卒業後、 役者・絵描き・クリエイター活動を開始。 役者としては、 主に舞台(40本以上)やCM等で活動。 絵描き・クリエイターとしては、 個人や企業・行政から依頼多数。 横浜の商業施設でのグッズ販売に、 ZeppTokyoで開催されたファッションイベントでは 自身作成のロゴがメイン採用。 2019年には、 地元新発田市の図書館で個展も開催。 また、2018年からは 新発田市と共同でプロモーションムービーを制作。 2021年に高校生とともに企画・制作したCMは 「新潟ふるさとCM大賞」で準グランプリを獲得。 その他にも、 舞台やコントライブの脚本や、 人気バンドユニットの小道具制作など 幅広くクリエイター活動を展開。 将来の夢は、 「新発田で映画を撮る」こと。 そして、全国の人に 「新発田」を「しばた」と 読んでもらえるようになること。