そして
「運命の3日間」・・1日目。
僕は、前日の2次審査と
同じ会場に向かっていた。
前日あたふたしてしまった
都営地下鉄の乗り換えも、
この日はスムーズにいき
余裕をもって会場に到着した。
この「最終審査」には、
前日に演出家が言っていた通り
“50人”
が、進出しているとのこと。
そして、
その50人で
一気に最終審査を行うのは
会場のスペース的にも難しいため・・
同じ日の午前と午後に分けて、
“25人ずつ”開催するとのこと。
僕は3日間とも
“午後の組”に振り分けられていた。
そして、
2次審査と最終審査で
大きく違うことは
「流れ作業」の
オーディションではなく・・
3時間みっちりと
「ワークショップ形式」
の、オーディションを行うということ。
僕自身
「ワークショップ形式」のオーディション
というものが完全に初めてだったため・・
一体何をやるのか分からない
という恐怖と緊張感で・・
終始、体が震え続けていた。
会場の入口に到着して
スタジオの中へと女性のスタッフさんに案内されると・・
中にはすでに参加者の大半が到着しており、
ストレッチであったり
発声の練習であったりと、
これから開始される
「最後のサバイバル」にむけて
各自しっかり準備を整えていた。
「やべぇ、雰囲気に飲まれそうだ・・・」
いや、完全に飲まれていた。
スタッフさん
「では、まもなくオーディション開始ですので、お着替えがまだの方は、早めに済ませておいてください。男性はこちら、女性はこちらの部屋でお着替えください。」
「・・・え?!
着替えなんて持ってきてないよ!?」
スタジオの中をよく見渡すと・・
確かにみんな“動きやすい服装”で、
今か今かとオーディションの開始を待っている。
「確かに、ワークショップと聞くと、なんか楽しく体を動かすようなイメージがあるけど・・
動きやすい服装を準備するのが必須なんて気づかなかった・・汗」
これは大きな失態である。
ただでさえ他の参加者に比べて、
「実戦経験」もなければ、
それに必要な「基礎」さえ備えていない。
「ポケットモンスター赤・緑」
で例えるならば、
マサラタウンで、
まだオーキド博士からも
呼ばれていない状態のサトシだ。
心もとない。
だからこそ、
こんな時は最低限
「やる気はあります!」
というところからの
アピールが必要不可欠だったのに・・
完全にやらかしてしまった。