という、
前置きはこの辺にして。
僕の真の一番の喜び
それは・・・
“あの容疑者8人の中に入る”
ことが無くなったという
安堵感。
いろんな可能性が
浮上していた稽古初日。
自分の配役は一体何になるのか・・・
刑事役か?
遺族役か?
それとも・・・
あのメインの
“容疑者8人”役か!?
ありとあらゆる
可能性をつぶしてゆき
一度、確定しかけた「容疑者8人」
の中に入るかもしれないという
最大の恐怖!!!!
こんなド素人男が
あの8人の中に入って、
たった2週間の稽古で本番を
迎えるだなんて恐ろしすぎる!!!
しかし!回避!!
最悪の状況は、回避!!!
要らぬプレッシャーから
解放された喜びの方が・・
僕にとって、
間違いなく大きかった。
とは言っても、
“こんな不埒な想い”は
他の誰にも伝えてはならない。
一番身近な“ヒノ君”になんて
もってのほかだ。
彼はすでに
舞台経験が豊富であり・・
何よりもオーディションで
見せつけてきたあの“演技力”!
そんなヒノ君からしたら、
”遺族たち”に、
配役されることは、
間違いなく不本意である。
僕
「せっかく、あんな大変なオーディションを潜り抜けてきたのに、オーディション組の配役にはショックだよね・・・」
僕は、こんなことは
微塵も思ってもいなかったが
ヒノ君に話しかけるための
言葉が他に見つからなかったので、
とりあえず、こう取り繕った。
ヒノ君
「・・・・」
彼からの返答はなかった。
という訳で、
この日は、
これ以上彼に何か話しかけることは
一旦、やめておくことにした。