そして
僕ら“遺族たち”の順番がやってきた。
舞台監督さんのあとに続いて
舞台上や舞台裏の動線だったり
セットの裏に
置かれている音響機材など・・・
どこをどう通ったら良いのか
どの辺に近づかないようにしたら良いのか
そのあたりを
1つ1つチェックしていった。
舞台監督
「では、これで“ステージツアー”を終了します。10分後に“場当たり”を開始しますので、またステージ上に集合してください。いったん解散します」
そうアナウンスが入ると
みなそれぞれの“控え場所”に戻っていった。
「(よし・・今のうちに!!)」
僕はササっと
“化粧室”に走り込み・・
鏡に写った“真っ白な顔面”に
驚愕を受けながらも
顔と手にべっとりと着いた
ファンデーションをゴシゴシと落とし・・
自分の“控え場所”である
廊下の片隅に戻っていった。
完全ヤンキー
「お、顔色戻ったやん~」
カサハラ
「本当に恥ずかしかったですよ・・・」
完全ヤンキー
「あれはおもろかったな~舞台上の照明が当たって、ケントの顔だけ完全に“白飛び”状態やったもんな~」
カサハラ
「そんな絶望的な状態だったんですね・・・みんなの笑いを堪える顔も凄かったですもん・・・」
完全ヤンキー
「“神谷椎太郎”も、見た目でそのくらいインパクトあったら、おもろいかもな~」
カサハラ
「え?」
完全ヤンキー
「あ、せや、準備できたら早めにいこで~さっきはステージ上に沢山人おってワチャワチャしとったから、今のうちにもう少し確認しておきたいねん」
カサハラ
「そうですね!僕ももうちょっと、見ておきたいです」
という訳で、
僕らは集合時間よりも少し早めに
ステージ上へと向かうことにした。