前日の稽古は
人数が少なかったこともあり
僕ら遺族たちも
代役として稽古に参加していたが・・
この日は本役の方が
ほぼほぼ揃っているので・・
僕ら”遺族たち“は
稽古をほぼ見学するだけで
過ごすこととなった。
さらに、
今日はダブルキャスト両方の
稽古を進めていく為・・
稽古に進行スピードも
前日に比べてはるかにゆっくりだった。
カサハラ
「(このペースで進むと、遺族たちのシーンはかなり後になりそうだな・・・)」
演出家
「では、一旦休憩にします。10分後に再開します。」
そう言うと、
演出家は毎度のこと
スタジオの外へ出ていった。
「ケント~」
完全ヤンキーが
僕の方へやってきた。
完全ヤンキー
「今日は出番がなくて退屈やな~」
カサハラ
「そうですね・・でも、昨日はずっと代役で終始緊張しっぱなしだったんで・・今日はそのプレッシャーがなくてちょっと気持ちが楽ですね」
完全ヤンキー
「まぁ、確かに昨日はなかなかハードやったからな~」
カサハラ
「あ、そうだ・・・」
完全ヤンキー
「ん?なんや?」
カサハラ
「なんで、今回“ダブルキャスト”なんですかね?」
完全ヤンキー
「ん?どういうことや?」
カサハラ
「いや・・全員シングルキャストの方が、いろいろ都合が良いような気がしていて・・」
完全ヤンキー
「都合が良い?」
カサハラ
「今日の稽古を見てて思ったんですけど、ダブルキャストだと、稽古も全然進まないし・・なんか効率が悪いって言うか・・」
完全ヤンキー
「ん~、まぁ確かに、ダブルキャストやと、進行が遅くなる難点はあるかもしれへんなぁ~」
カサハラ
「それに・・主演の2.5次元俳優さんを含めて、何人かシングルキャストの人もいるじゃないですか?」
完全ヤンキー
「せやな、シングルキャストの人も、何人かおるな」
カサハラ
「そのシングルキャストの人たちが、“ダブルキャストの役者に合わせる”感じで、立ち位置とか、動き方とかをそれぞれ変えなきゃならないじゃないですか?なんか、見てて大変そうだな~って思って・・」
完全ヤンキー
「まぁ、そりゃ、同じ役でも違う役者が演じれば、立ち位置も動き方もそれなりに変化してくるもんやからな~」
カサハラ
「ただでさえ、この過酷な稽古なのに・・・シングルキャスト人の負担が半端ないなって。シングルキャストだけにした方が、いろいろとやり易いと思うんですけど・・ダブルキャストにするメリットって何があるんですかね?」
完全ヤンキー
「いやいや!そこがダブルキャストのメリットやろ~!」
カサハラ
「・・・え?どういうことですか?」