カサハラ
「だって、これだけ”遺族たち”が増えてしまったら、昨日作り上げた僕らのキャラクターもリセットされてしまうかもですよ!」
完全ヤンキー
「は?何をいうてんねん~!これ以上”遺族たち”は増えないやろ?」
カサハラ
「え?だって、今日の参加人数多すぎません!?これ絶対”遺族たち”を増やされたんですよ!それに、遺族たち以外の役で、増やすことができる配役なんてないですよね!?」
僕の必死な問いかけに
完全ヤンキーは笑みをこぼした。
完全ヤンキー
「ハハハ~なんやそういうことか~!」
カサハラ
「え!?なんですか?」
完全ヤンキー
「今日、人数が多いのは、遺族役が増えたからやないで~」
カサハラ
「え・・?じゃあ、どういうことですか?」
完全ヤンキー
「それは、”ダブルキャスト”やからや~!」
カサハラ
「え?・・・・ダブルキャスト?・・何ですかそれ?」
完全ヤンキー
「なんや、そんなことも知らへんのか?ダブルキャストってのは、”1つの役”を”2人”が演じるってことや」
カサハラ
「ん?1つの役に2人!?・・・どういうことですか?」
完全ヤンキー
「わからんやっちゃなぁ~!舞台ではよくあることやねん。」
カサハラ
「あ、もしかしてあれですか・・?モノマネ紅白歌合戦とかで、モノマネしてるところに、後ろから本人が登場してくるみたいな感じですか?」
完全ヤンキー
「全然ちゃうわ!」
完全ヤンキーは、僕にこっそりと
“ダブルキャスト”について説明してくれた。
ダブルキャストとは簡単に言うと・・
舞台で、2人の役者が同一の役を、
公演期間中に交代で出演すること。
ちなみに、
1つの役を1人の役者が担当することを
“シングルキャスト”とも呼ぶらしい。
カサハラ
「なるほど・・・ダブルキャストってそういう意味なんですね・・ってことは、今回の舞台は結構ダブルキャストの役が多いんですかね?」
完全ヤンキー
「せやな~。この人数からして、配役の半分以上はダブルキャストみたいやな。まだ俺らには特に説明されてへんけど、どの役がダブルキャストかは、稽古見ながら確認して行こか~」
カサハラ
「そうですね・・」
すると・・・
演出家
「では今日は割と人数が揃っているので、
ダブルキャスト両方の稽古を進めていきましょう」
そう演出家は言い・・
早速、“冒頭のト書き”のシーンから
この日の稽古はスタートした。