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ロボットやない



完全ヤンキー
まぁ、ケントは今回初めての舞台やから、そういうデメリットに感じる部分があるのかもしれへんけど、ダブルキャストにはもちろんメリットもあるんやで~!



カサハラ
「え?どんなメリットですか・・!?」



完全ヤンキー
まぁ、まずはな・・舞台ってもんは沢山のお客さんに見に来てもらってなんぼやろ?



カサハラ
「まぁ・・そうですよね。」



完全ヤンキー
まぁ、例えば、100人のファンがついてる役者がいるとするな~



カサハラ
「100人のファンが・・はい」



完全ヤンキー
その役者が、シングルキャストだった場合、その役者は何人、この舞台に集客できると思う?



カサハラ
「え・・?100人ですよね?」



完全ヤンキー
正解や。じゃあ、次、100人のファンがついてる役者2人を、ダブルキャストで出演させるとする。そうすると、この舞台で何人集客できると思う?



カサハラ
「そりゃあ・・200人ですよね?・・・あぁそういうことか・・!



完全ヤンキー
そや!ダブルキャストにすることで、1つの役で“倍の集客”ができるってことや



カサハラ
「なるほど・・!」




完全ヤンキー
まぁ、これは舞台の”制作側”にとってのメリットにはなるけどな~。舞台も商売のひとつや。集客できへんかったら赤字になってしまうし、舞台の制作会社はつぶれてしまう。そしたら、俺ら役者が立てる場所もなくなってしまうやろ?



カサハラ
「確かに・・それは困ります・・!」



完全ヤンキー
せやろ?これは大事なことやろ



カサハラ
「そうですね・・ダブルキャストにする意味って、こういうところにあるんですね・・!」



完全ヤンキー
まぁ、それだけじゃないで~。”役者側”にも、ちゃんとメリットがあるんやで~!



カサハラ
「え?役者側にも・・今日の稽古を見てて、特に感じなかったですけど・・・どんなメリットがあるんですか?」




完全ヤンキー
それは”演技の幅の広がり”やな



カサハラ
「演技の・・・幅?」



完全ヤンキー
例えば、一つの役に一人だけの場合、つまりシングルキャストだった場合、その役は1パターンのキャラクターになる訳や



カサハラ
「・・・はい」



完全ヤンキー
でも、ダブルキャストだった場合は、一つの役に2パターンのキャラクターが出来上がるんや。わかるか?



カサハラ
「なるほど・・・つまり演じる人が違えば、役のキャラクターも違ってくるってことですよね?」



完全ヤンキー
せや。そうすると、何がメリットかわかるか?



カサハラ
「えーっと、”勉強になる”ってことですかね・・・??」



完全ヤンキー
まぁ、ほぼほぼ正解や。例えば、俺とケントが“ダブルキャスト”で1つの役を演じるってなった場合、稽古中に、俺ならケントの、ケントなら俺の作り上げたキャラクターを見てみることで・・”そんなアプローチの仕方があったんやなぁ”って、新しい発見ができたりするもんなんや。



カサハラ
「あ~・・なるほど・・・!!」



完全ヤンキー
演技ってもんは、演じる役者の数だけ無数に存在するんや。自分以外の役者の考え方やアプローチの仕方を知ることで、その幅は、どんどん広くなっていくんやで。」



カサハラ
「たしかに、それは役者をやって行く上で、とても大事ですね・・!」



完全ヤンキー
それに、ダブルキャストは、“ダブルキャストになった当事者”だけにメリットがある訳じゃない



カサハラ
「え?」



完全ヤンキー
さっき、ケントは“シングルキャストは大変そう”なんて言ってたけどな、逆にシングルキャストの人にとっても、対峙するキャラクターが変わることで、どんどん役者としての“引き出し”が増えてくるもんなんや。



カサハラ
「役者としての“引き出し”?」



完全ヤンキー
対峙する相手が変わることで、動きも、立ち位置も、セリフの掛け方も、反応も、何もかもすべてが変わる。でも、それが“演技”の面白いところや



カサハラ
「確かに・・」



完全ヤンキー
役者はロボットやない。台本はあったとしても、そこにはちゃんと“人と人とのコミュニケーション”が存在するんや。シングルキャストの人は、そういう部分で引き出しが増えたり、楽しさを感じたりできるもんや



カサハラ
「人と人とのコミュニケーション・・・」



完全ヤンキー
どや?演技って奥深いもんやろ?



カサハラ
「そうですね・・・めちゃくちゃ面白いですね・・!」



完全ヤンキー
ええやんええやん!まだケントの役者人生は始まったばかりなんや~!これからどんどん吸収していくんやで~!



カサハラ
「はい・・!!」





僕にとって初めてできた
“役者仲間”の完全ヤンキーさん



最初は少し抵抗があったけど・・




この出会いは僕の役者人生にとって
とてもかけがえのないものだった。






つづく・・


P.S.

いやぁ~今となっては”ダブルキャスト”の意味ももちろんわかりますし、僕もダブルキャストをたくさん経験してきたので、いろいろ勉強になったんですが、この時は本当に「なんでダブルキャストにするん!?」ってシンプルに疑問が湧いていたのをはっきりと覚えてます(笑)

そういう部分も含めて、本当に完全ヤンキーさんにはいろいろと教えてもらって、感謝しかないですね~!


次回!!

ダブルキャストの重要性を知ったカサハラ青年は、少しでも自分の演技の幅を広げようと、引き出しを増やそうと、かじりつくように稽古を見学してゆく。しかし、稽古の進行がゆっくりな為、いつまで経っても”遺族たち”のシーンまでたどり着かないことに、すこしずつ焦りを感じ始める。本番まで2週間を切った状態・・果たして”遺族たち”のシーンはちゃんと稽古する時間を取ってもらえるのか!?



※来週はGWお休みとなりますので・・・
次回は【5月11日(木)】の更新となります☆


お楽しみに~!!


カサハラケント


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カサハラケント
カサハラケント (笠原賢人) 1988年5月17日生まれ 新潟県新発田市(旧紫雲寺町)出身 2011年、大学を卒業後、 役者・絵描き・クリエイター活動を開始。 役者としては、 主に舞台(40本以上)やCM等で活動。 絵描き・クリエイターとしては、 個人や企業・行政から依頼多数。 横浜の商業施設でのグッズ販売に、 ZeppTokyoで開催されたファッションイベントでは 自身作成のロゴがメイン採用。 2019年には、 地元新発田市の図書館で個展も開催。 また、2018年からは 新発田市と共同でプロモーションムービーを制作。 2021年に高校生とともに企画・制作したCMは 「新潟ふるさとCM大賞」で準グランプリを獲得。 その他にも、 舞台やコントライブの脚本や、 人気バンドユニットの小道具制作など 幅広くクリエイター活動を展開。 将来の夢は、 「新発田で映画を撮る」こと。 そして、全国の人に 「新発田」を「しばた」と 読んでもらえるようになること。